――映画の構成上、前半での加奈子は人の話の中で、後半ではさまざまな人物の前に現れます。その後半で、しっかりと不気味な少女が出来上がっていたので、見入ってしまいまいました。…ちなみに、今もやっぱり怖いです。

えっ、まだですか。大丈夫です、安心してください(笑)。

――役所広司さんとのシーンはかなり激しい場面もありましたね。現場で泣いたそうですが、それはどんな涙だったのでしょうか。

ずっとロケだったんですけど、その日が初めてのスタジオ撮影でした。加奈子が暴力をふるわれるハードなシーン…暴力を受けて普通は笑うことはありませんが、加奈子は笑うんですよね。そこでの私の「笑い」が監督の中で違っていて、何度も撮り直しました。いろいろアドバイスもしてくださったんですけど、それも聞いているうちにだんだん分からなくなってきちゃって、自分ではやっているつもりができていなかったり。周りの空気もすっごく重く感じてしまって、その中で監督が優しく指示してくださると…涙が出てきて…。なんでできないんだろうって。悔しかったですね。

――そして、最後の撮影の相手役は中谷美紀さんだったそうですね。

ずっと男性の方とのシーンだったので、初めて大人の女性との2人芝居。中谷さんは会ったらすごくきれいで、わぁーっと思っちゃって。すっごく緊張していたんですけど、すごく話しかけてくださって…でもやっぱりドキドキしていました(笑)。あのシーンを終えてみて思うのは、この映画のタイトルにある"渇き"というのは加奈子の心なんじゃないかなと思います。

緊張して寝れないこともあったり、もちろん楽しいこともあったりして。オールアップの時に監督がハグをしてくださって、ようやく終わったんだと。詰まっていたものがすーっと通った感じがして…「終わったんだ」というよりも「終わるんだ」に近いかもしれません。その時に達成感をとても感じて、中谷さんも一緒に泣いてくださったので、さらに涙が出てしまいました(笑)。

――それだけの試練を乗り越えて、今思うことは?

加奈子はすごく難しい役なんですけど、伸び伸びと楽しくできたというのもあって、加奈子を演じられてよかったなと思いました。スタッフさんもすごく優しく接してくださって、皆さんに支えられて最後までできたんだと思います。最初は演じることがとても恥ずかしかったんですよ。演じることは難しいですが、楽しいことだなと思えるようになりました。これを通じて、いろんな役ができたらいいなと思います。

――ブログには「高校在学中に映画に出たかった」と書いてありました。そこにはどういう意図があったんですか。

ずっとモデルをやっていて、男の子はファッション誌とかあまり見ないじゃないですか。それで学校とかいなかったりすると、「本当に仕事やってるの?」みたいに思われることもあったので、それがすごく悔しくて…見せつけてやろうみたいな気持ちもありました(笑)。ちゃんと仕事してるよって。あとは現役高校生にしか抱けない思いもあるので、それを残しておきたいという思いもありました。

――学業の両立という意味では、周囲の目もやはり気になりましたか。

でも、非難とかはなくてみんな応援してくれていて、どんな仕事をしているのか興味を持ってくれていました。私の仕事を見たと行ってくれた時にすごくうれしかったりして…私のような仕事をしている生徒がいなかったので、学校の先生も協力してくださいました。

――この仕事で生きていこうと?

モデルも女優もどちらもできたらいいんですけど、中途半端になるんだったら、どちらか片方で力を入れたほうがいいのかもしれません。今回、こうやってチャンスを頂けたので、女優も頑張っていけたらいいなと思います。

(C)2014「渇き。」製作委員会