東京都・恵比寿の東京都写真美術館では、写真や映像、資料によって国内外の聖地を巡る「平成26年度東京都写真美術館コレクション展 スピリチュアル・ワールド」を開催している。開催期間は7月13日まで、開催時間は10:00~18:00(木金は20:00まで)。入場料は一般500円、学生400円、中高生・65歳以上250円。

高木庭次郎《白糸からの富士山》1910年代 幻燈写真、ゼラチン 乾板に手彩色

内藤正敏「婆バクハツ!」より《お籠りする老婆、青森県高山稲荷》1969年 ゼラチン・シルバー・プリント

横尾忠則《皆は一人のために、一人は皆のために》1993年 テクナメーション

同展は、3万点を超える東京都写真美術館のコレクションのなかからセレクトした写真や映像作品、資料によって、日本の宗教文化や民間信仰と視覚表現との接点を探るとともに、スピリチュアルな世界観を背景に、独自のビジョンを追求してきた写真家、美術家たちの表現を紹介するというものだ。

また、今回参加している、渡辺義雄、石元泰博、鈴木理策、山城知佳子、東松照明、土門拳、土田ヒロミ、石川直樹、内藤正敏、奈良原一高、藤原新也、横尾忠則、三好耕三らが、伊勢や熊野、富士、インド、恐山、天界、沖縄など、国内外の"スピリチュアル・ワールド"をとらえた出展作品183点のうち、約半数が初展示となる。さらに、6月27日(18:00~19:30)には、出品作家の三好耕三によるアーティストトークが開催される(定員50名、当日10時より受付にて整理券を配布、要同展チケット)。

なお、日本では古来、森羅万象に「八百万の神」が宿るとする信仰をもち、目に見えないものや日常を超えたものの存在を感じとる感性、神仏を畏れ敬う意識、生きている者と死者の関わり合いを大切にする死生観とともに生きてきた。同展の開催に際して、そうした近代化の過程で失われていった非合理的なもののなかには、日常生活や現代社会の価値観にはない未来への手がかりが隠されているかもしれず、展覧会タイトルにもなった「スピリチュアル・ワールド」には人を浄化し、活性化する力が秘められているはずだというコメントが寄せられている。