日立製作所は、ミッションクリティカルな社会インフラ企業向けの通信システムにおいて、ビッグデータのリアルタイム高速処理を実現する「拡張型メッセージキューソリューション」を開発し、6月10日より提供を開始する。

データ交換方式に「メッセージ・キューイング」を用いてきた既存のシステムでは、キューへ情報を蓄積する際に外部ストレージを利用する形態が主流となっており、外部ストレージへの大量のアクセスがる配信性能向上を図る際のボトルネックとなっている。

こうした課題に対し、同社はインメモリ型分散KVS技術を採用した同ソリューションを開発した。同ソリューションは、外部ストレージを介さず、内蔵メモリ上に「キュー」を配置して処理を行うことで、高速メッセージ処理基盤を実現する。

具体的には、消失できないメッセージやデータの複製を複数サーバのメモリ上に分散して格納するKVS構成(KVSデータクラスタ)とすることで、障害時の稼働系から待機系への切り替えに起こりうるデータ引継ぎ失敗や、データ引継ぎ時のサービス中断によるリスクを排除し、システムの無停止化を実現する。

独自に開発した複数のKVS構成を冗長化制御する「マルチKVSデータクラスタ制御」機能により、異なるネットワークやサーバ上に構築したKVSデータクラスタの監視・制御が可能となっている。

また、インメモリ型分散KVSをベースにキューの構造を持たせたインメモリキューを採用し、外部ストレージを介さず、大量メッセージの高速処理を実現する。

独自開発の「高速キュートランザクション制御」機能は、メモリ上に配置された「キュー」を、KVSのKey-Valueデータ構造に最適化して効率的に管理することで同時アクセスの発生による遅延を回避するとともに、複製データの複数サーバへの格納の際にデータ圧縮を自動的に行いメモリ使用量とネットワーク帯域への圧迫を回避するなど、さらなる高速メッセージ処理を実現する。

同ソリューションは、拡張型メッセージキュー「Advanced Message Queue(AMQ)」、ンメモリ型データグリッド製品「uCosminexus Elastic Application Data store(EADs)」、システム・インテグレーションから構成され、価格は個別見積りとなる。

「拡張型メッセージキューソリューション」の構成