GDC 2014でのデモから

2014年3月、サンフランシスコでゲームデベロッパーズカンファレンス(GDC 2014)が開催された。その中に、Mozillaとゲーム(エンジン)メーカーが協力した展示がいくつかあった。展示では、プラグインを使わずFirefox上で3Dゲームがネイティブ並みに動作していた。同じデモではないが、図1を見ていただきたい。これは、Unityゲームエンジンを使ったAngry Botsである。

飛来物を撃ち落とすシューティングゲームである。雨の輪や水に反射する光などがとてもリアルである。動作もよどみがない。図2は、同じくUnityをゲームエンジンに使ったDead Trigger 2である。

こちらは、次々と現れるゾンビを撃退するFPS(ファーストパーソンシューティング)ゲームである。機関銃を背負った鶏がなんとも笑える。残念ながら、うまくいかなかった方のために、YouTubeで公開されているデモ動画を紹介しておこう。

<動画>Mozilla and Unity Bring Unity Game Engine to WebGL

<動画>First Glimpse of Epic's Unreal Engine 4 Running in Firefox

前者は、図1、2のUnityを使ったもので、同じゲームタイトルの一部が紹介されている。後者は、Epic GamesのUnrealというゲームエンジンを使ったものだ。Epic SoulとEpic Swing Ninja(こちらは2Dゲーム)の2つが紹介されている。動作速度であるが、動画にあったEpic Gamesではネイティブアプリの1.5倍程度とのことである(1倍に近いほど速い)。

ネイティブアプリとWebアプリ

Web上でも、アプリを高速に動作させたい。同時に、ネイティブと同レベルの表現力がほしいという要求もある。その理由であるが、ネイティブアプリとWebアプリを比較するとわかりやすい。まず、Webアプリの良い点であるが、

  • 検索などで、ほしいアプリをユーザーがみつけやすい
  • インストールがほぼ不要(リンクをクリックするか、ブックマークを登録する程度)
  • 開発側で保守がしやすい(サーバー側の管理でほぼ十分)
  • プラットフォームに依存しない

などがあげられる。逆に、Webアプリの欠点をあげるとすれば、

  • 速度
  • 表現力
  • ブラウザによって動作が異なる

となる。過去には、カメラやセンサーなどのデバイスを制御できない点もあったが、解決されつつある。操作性やレスポンスが重視されるアプリは、ネイティブが多い。それをWebアプリにすると、どうしても速度や表現力がボトルネックとなる。さらに、

  • SNSなどとの親和性(アカウントの利用、情報共有)
  • 広告との連携性

もWebアプリの方が高い。一方、ネイティブアプリに関しても、異なる問題が浮上してきた。携帯用デバイスでは、多くがストアアプリとして提供される。その審査や決済手数料が重荷になってきている。そういったさまざまな事情から、Webアプリの可能性に関心が高まっているのだろう。その具体例として、Firefoxで3Dゲームが動くことが注目を集めているのだ。