情報通信研究機構(NICT)は、協力企業と連携し、レイヤ3スイッチにネットワーク機器の位置情報(ネットワークアドレス)を自動的に割り当てる新世代ネットワーク技術「HANA」を実装したと発表した。

HANA対応レイヤ3スイッチ

PC 1,000台規模の企業網では、建物やフロアごとに全体で数十台のレイヤ3スイッチが設置され、ネットワーク管理者は、レイヤ3スイッチ間の接続関係を設計し、レイヤ3スイッチやサーバなどのネットワーク機器ごとに必要な情報を設定する必要がある。その中で位置情報(ネットワークアドレス)は基本となるもので、それら機器の複数あるそれぞれのポートにIPv4やIPv6アドレスなど複数の値を設定する。

この位置情報には制約があり、ネットワークを新しく構築する際には設計・設定に多くの労力が必要となり、いったん構築したネットワークの接続や機器を変更する場合、一部の変更であっても全体に影響が及ぶため変更が難しく、柔軟なネットワーク構成の妨げとなっていた。

NICTは、これらの問題を解決する技術として、ネットワークを構成するレイヤ3スイッチやサーバなどの機器に自動的に位置情報を割り当てる仕組みであるHANAを研究開発し、汎用PC上のソフトウェアとして動作検証してきた。

今回NICTは協力企業と連携し、ネットワーク機器に位置情報を自動で割り当てる仕組みHANAを、レイヤ3スイッチに組み込みんだ。従来の実験用PCにおけるソフトウェアでは8ポート×各2Gbpsの性能だったものが、ハードウェア化により48ポート×各10Gbpsの性能でHANAが利用できるという。

HANA対応レイヤ3スイッチを用いたネットワーク構築

これにより、ネットワークのコアとなる一台のレイヤ3スイッチに位置情報を設定するだけで、それ以外のすべてのレイヤ3スイッチやPCなどに自動で位置情報が設定される。例えば、レイヤ3スイッチ数十台を用いてPC 1,000台の企業網を構築する場合、HANA対応レイヤ3スイッチを使用すれば、設定項目が100分の1程度に削減できるという。

今後は、企業網やデータセンターでHANA対応レイヤ3スイッチが活用されるように、企業と提携して実用化を目指す。