スーパーカーが公道を激走するストリートレースを描いた『ニード・フォー・スピード』(6月7日公開)で、CGなしの大迫力のカーアクションシーンを実現したスタント出身のスコット・ワウ監督とスタントコーディネーターのランス・ギルバートの最強タッグがこのほど、撮影秘話を明かした。

『ニード・フォー・スピード』メイキング写真

本作は、総数1億5,000万本以上売り上げているレーシングカーゲームを映画化した作品。ゲームのコンセプトとビジュアルをもとに、感動のドラマと、超高速スピードで公道を走るカーアクションを、大スクリーンに描き出した。監督は、スタントマン出身のスコット・ワウ監督が務め、その経験を生かして大迫力のカーアクションシーンを生み出した。その裏には、監督のむちゃな要望を支えた、監督と親交の深いスタントコーディネーター、ランス・ギルバートの存在があった。

「スタントマン出身ならではといったユニークなアングルで、観客をアッと言わせたいという気持ちがあるんだ」と語るワウ監督は、「あるシーンでヘリコプターのスキッド(着陸用そり)にベルトで身体を縛り付けて上空から僕が撮影したんだけど、ランス率いるスタントチームにそんなムチャをお願いするのは日常茶飯事だったね」と言い、「現場でいきなり『ヘリコプターからぶら下がって撮りたいんだけど、できるかな?』と言い出す僕に、ランスは『ハイハイ、わかりました』ってあきれ顔でうなずいていたよ(笑)」と振り返った。

続けてランスが「デトロイトでの撮影中なんか、このバカが…」と切り出すと、ワウ監督は爆笑して「思いつきでとんでもないアイデアを口にすると『いや、それはムリだね』ってランスが現実に引き戻してくれる、ってのがいつものパターン(笑)」と説明し、最大の見どころ"グラスホッパー"のシーンについて、「スタントマンだった僕たちの父親が、『ウィニング・シーズン/勝利の季節』という映画でやった、7.5メートルにも及ぶ圧巻の大ジャンプを再現したいという思いから生まれたスタントなんだ」と語った。

監督は「デトロイトのダウンタウンにピッタリの場所が見つかって、4車線の道路を高さ6メートルで飛び越えて着地するという、51メートルの大ジャンプにトライすることになった。でもそれを実際の撮影でいかにして成功させるのかについては、僕の知ったことじゃない。ランスの仕事だからね(笑)」とむちゃぶり。ランスが撮影を成功させ、完成した。「子供の頃から一緒に育ったから、2人とも同じことが好きなんだ。話さなくても通じるようなところがある」とランスへの信頼を語るワウ監督。ランスも「1番のチャレンジは、監督のムチャな要望に応えつつ、安全を確保すること(笑)」と、2人の絆を感じさせた。

『ニード・フォー・スピード』場面写真