アイ・キューが運営する人事ポータルサイト「日本の人事部」は5月28日、同サイトの6万人の会員を対象に実施したアンケートの結果を発表した。

今回、「採用」「育成」「雇用に関する法改正」「職場環境」の4つのメインテーマを設定し、3,009社が回答した結果をまとめた。

ブラック企業と「誤解されないため」の対策について聞いたところ、「講じている」と回答した企業は17.0%にとどまり、「対策を講じていない」企業が68.3%と3社に2社の割合を占めた。対策を講じている企業では「情報開示」「現場教育」など、奇をてらうことなく、正攻法の対策を行っているようだ。

ブラック企業と「誤解されないため」の対策 資料:日本の人事部 人事白書2014

現在、政府は2020年に女性管理職30%を目標に掲げているが、女性管理職の割合が「0%」という企業は、21.4%だった。女性管理職を増やすうえでの障害の最多回答は、「候補となる女性従業員が不在」(25.6%)で、女性管理職が増えない理由に「女性を管理職に育てていく社内環境整備の遅れ」「そもそも管理職適齢の女性総合職が少ない」「候補となる従業員が力不足」などが挙がっているという。

政府は女性活用の対策の1つとして「育児休暇3年」を戦略としているが、そのことを「知っている」という回答は41.0%にとどまり、「名称は知っているがよくわからない」が30.6%、「知らない」が28.4%となった。「推進する」と回答した企業は15.5%にとどまっており、「推進しない」と回答した企業は37.4%と4割近くを占めている。

2016年度新卒採用活動の後ろ倒しへの意見は三分に分かれ、賛成30.1%、反対37.3%、意見保留32.5%という結果となった。賛否以外で注目されるのは、「選考開始」の時期に関する回答で、最も多かったのは指針通りの「2015年8月」18.0%で、次に多かったのが「2015年4月」14.1%となり、今までの指針を受けた形の前年通りの回答となった。ただ、今後は人材不足がより深刻になるとの見方から、経団連や大学側の思惑とは逆に、指針より早い段階での「採用選考」を行う企業も少なくないようだ。

採用活動の後ろ倒し 資料:日本の人事部 人事白書2014

中途採用人材の募集要件は「専門性」54.9%、「自社にはない能力・経験」41.0%となり、実際に採用した人材は「業界未経験」58.9%、「職種未経験」40.9%となり、人材不足がますます深刻化していく中、中途採用人材には、専門性が求められていることがよく分かる結果となった。また、以前のように「業界」「職種」などを絞るのではなく、幅広く人材要件を持たせ多面的な展開になっていることが、浮き彫りになった。

2013年度に中途で正社員として採用した人材 資料:日本の人事部 人事白書2014