「LTE-Advanced」という言葉を聞いたことはないだろうか。スマートフォン関連で最近よく耳にする言葉だ。文字からしてLTE関連の何かなのだろうが、それがどのようなもので、利用者にはどのようなメリットがあるのだろうか。

LTE-Advancedとは

LTE-Advancedは、第4世代(4G)に位置付けられる携帯電話回線の通信規格。現在スマートフォンを中心に利用される第3.9世代規格(LTE、Long Term Evolution)の進化版に相当し、下位互換性を保ちつつも新たな技術要素を加えることでさらなる高速化/大容量化を実現する。

LTEとLTE-Advancedは、伝送容量において大きな差がある。LTEが利用する周波数帯域は20MHzで、規格上は最大300Mbpsという速度でデータを伝送できる。一方のLTE-Advancedは100MHzの周波数帯域を利用し、下り方向で最大3000Mbps(3Gbps)というFTTH回線をも上回る通信速度を実現する。

LTE-AdvancedはLTEの進化版であり基本技術の多くを共有するが、大きく異なる点がいくつかある。ひとつは、複数の周波数帯を束ねて最大100MHzという広帯域を実現する「キャリア・アグリゲーション(CA)」。現行のLTEではキャリアに与えられる帯域の単位は20MHz、同時に使える周波数帯が1つに限られるため通信速度は最大75Mbps程度だが、LTE-Advancedでは連続しない周波数帯をひとまとめにすることで、最大で下り3Gbps/上り1.5Gbpsという高速通信を可能にしているのだ。

ほかにも、子基地局を利用して通信効率を高める「インテリジェントリレー」、下り最大8×8/上り最大4×4にまで多重伝送数を拡張する「MIMO(Multiple Input Multiple Output)の拡張」、複数の基地局が連携して信号を送受信しスループットを改善する「セル間協調送受信(CoMP)」、フェムトセルなど異種基地局が混在したネットワークを展開する「ヘテロジニアスネットワーク(HetNet)」という技術がLTE-Advancedには盛り込まれる。

LTE-Advancedを支える主要技術「キャリア・アグリゲーション」の概念図