日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 エンタープライズグループ営業統括 クラウド営業統括本部長 松浪 幹生氏

日本ヒューレット・パッカードは5月21日、5月7日に米国で発表されたクラウド製品・サービスのポートフォリオ「HP Helion」に関する説明会を開催した。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 エンタープライズグループ営業統括 クラウド営業統括本部長の松浪 幹生氏は、「ビジネス要件に応じて、プライベート・クラウド、マネージド・クラウド、パブリック・クラウドを適切に使っていくという"ハイブリッド・クラウド"を推進するというわれわれの戦略は変わらない。ここ数年、OpenStackをベースにパブリック・クラウドの開発を進めてきたが、そのノウハウをこれからはすべてのクラウドに展開していく」と説明した。

Helionは科学用語で正電荷を持つヘリウムイオンのことで、ギリシャ神話の太陽神"ヘリオス"が言葉の起源でもあることから、同社としては、企業のさまざまなITを繋ぐ役割を担うべく、ヘリウムのように普遍的かつ太陽のように雲(クラウド)を超えた存在でありたいという意味をこめているという。

米ヒューレット・パッカード クラウドテクノロジスト グループ 技術担当部長 真壁徹氏

Helionの詳細については、米ヒューレット・パッカード クラウドテクノロジスト グループ 技術担当部長の真壁徹氏が説明を行った。

同社はHelionの下、ライベート・クラウド、マネージド・クラウド、パブリック・クラウドに対し、OpenStackベースの共通アーキテクチャを適用する。具体的な製品・サービスとしては、「HP Helion OpenStack Community edition」「HP Helion OpenStack for Enterprise/Service Provider」「HP Helion OpenStack Professional Services」「HP Helion Development Platform」が提供される。

Helion OpenStack Community editionは同社が無償で提供するOpenStackのディストリビューションで、6週間ごとにコミュニティが開発している機能を取り込んでリリースする。現在は、Preview版が公開されているが、6月には正式版が公開される予定だ。真壁氏は「DebianベースのHP Linuxを同梱しているのもOpenStack Community editionの特徴の1つ。ただし、HP Linuxは管理やネットワークといったスタックに配備されている」と述べた。Community editionのサポートは有償で別途提供するという。

Helion OpenStackはCommunity editionをコアに大規模企業やサービスプロバイダーに必要な運用管理機能などを付加したもので、今年8月に正式版の公開が予定されている。

HP Helionの提供形態と3つの価値

HP Helionのポートフォリオ

HP Helion OpenStack Community edition」「HP Helion OpenStack for Enterprise/Service Providerの相違点

HP Helion OpenStack Professional Servicesは、コンサルタント、エンジニア、クラウド技術者で構成するチームがクラウドのアセスメント、戦略立案支援、構築、運用を支援する。

HP Helion Development PlatformはCloud Foundryベースのプラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)で、Cloud FoundryとOpenStackの連携が提供される。ただし、その提供は今年後半の予定で、詳細はまだ決まっていないという。

また、今後18ヵ月の間に、HP Helion OpenStackベースのパブリック/マネージド・クラウドサービスを世界20ヵ所のデータセンターで提供することが計画されている。その中には東京も含まれている。

今後、世界20ヵ所のデータセンターに展開されるHelion OpenStackベースのパブリック/マネージド・クラウドサービス