慶応義塾大学(慶応大)は5月14日、直径約1nmの微細な一次元物質である単層カーボンナノチューブ(CNT)を用いて、Gbpsレベルの超高速変調が可能なシリコン上・高集積発光素子を開発したと発表した。

同成果は、同大 理工学部 物理情報工学科の牧英之准教授らによるもの。詳細は、米国化学会誌「Nano Letters」のオンライン版に掲載された。

今回、新たな材料系としてCNTを利用することで、シリコン上で小型の黒体放射発光素子の作製に成功するとともに、この発光素子が1~10Gbps程度の高速の変調性を有していることを初めて明らかにした。また、実験と合わせて、この発光素子の高速変調性に関する理論構築にも成功した。この成果は、化合物半導体に代わる新たな材料系での発光素子の開発とその高速・高集積の光技術への応用を示したものであり、光インターコネクトや光・電子集積回路の実用化を推進することが期待されるとコメントしている。

高速変調CNT黒体放射発光素子。CNT薄膜に入力信号を電圧印可すると、入力信号で高速変調された発光が得られる。発光素子は、薄いCNT薄膜に電極を形成するだけで作製できる