メタウォーターと富士通は共同で、ビッグデータ分析およびウェアラブルデバイスを用いた設備保守点検業務の実証実験を、5月後半より福島県会津若松市の滝沢浄水場にて開始すると発表した。

メタウォーターは、2011年より富士通のパブリッククラウドサービス「FUJITSU Cloud IaaS Trusted Public S5」を活用し、「ウォータービジネスクラウド」を立ち上げ、自治体様向けに水道インフラ管理サービス「Smart Field Service」を提供してきた。

また同社は、2013年から上下水道施設の点検作業にタブレットを活用したインフラ管理サービス「Smart Field Service」を提供しており、2014年4月から、滝沢浄水場の設備更新・維持管理事業に着手する。

同社は今回、さらなる業務の高度化・効率化や、熟練作業員のノウハウ継承を強化するため、ビッグデータ分析とウェアラブルデバイスを活用した実証実験を開始する。そして、今後、水道設備などから収集されるビッグデータやヘッドマウントディスプレイなどのウェアラブルデバイスを活用することで、さらなる業務の高度化・効率化を目指す。

実証実験の概要

実証実験では、水道設備の稼働データや各種センサーから収集したビッグデータを分析活用し、設備の故障予兆検知による予防保守実現に向けて実用性を検証。また、浄水場における過去の水質情報と気候データを分析・モデル化することで水質予測を行い、浄水における薬剤投入量の最適化により、コスト削減を図る。

さらに、ウェアラブルデバイスを用いた保守点検業務についても、作業の効率化・信頼性向上に向けた実用性検証を行うとともに、熟練作業員の技術伝承についても有用性を検証する。

具体的には、これまでメタウォーターにて蓄積していた水道設備の稼働データや、各種センサーから収集したモーターの回転数や水圧などのデータに、富士通の故障予兆検知技術を適用することで、故障前の予防保守の実現など水道設備の稼働率向上・メンテナンス作業の効率化、サービスのレベルアップを図る。また、富士通が提供するキュレーションサービスにより、過去の水質データと天候データの関係をモデル化し、水質予測を行う。これにより、これまで熟練作業員の経験に基づく勘に頼っていた水質検査のタイミング最適化し、浄水における検査作業の効率化と薬剤コストの削減を図る。

ビッグデータ活用による設備維持管理の高度化・コスト削減

ウェアラブルデバイスによる作業員の作業効率化・技術伝承では、上下水道施設の設備保守点検業務において、これまで活用しているタブレットに加えて、ウェアラブルデバイスを取り入れることで、ハンズフリー作業実現による作業効率化を図る。

また、作業中に、機器操作時の他の関連設備への影響状況をヘッドマウントディスプレイに表示し、確実な作業を支援することで、作業の安全性を保った上での作業効率化を検証する。さらに、作業報告時にウェアラブル入力デバイスを活用することで、入力工数削減を図る。

ウェアラブルデバイスによる作業員の作業効率化・技術伝承