調査会社の米IDCは4月30日(米国時間)、2014年第1四半期(1月ー3月期)の世界スマートフォン市場報告書を発表した。同期は前年同期比28.6%増と堅調に成長し、携帯電話市場全体を牽引した。一方でSamsungとAppleのトップ2はシェアを下げるなど、市場が今後大きく動きそうな様相も呈している。

第1四半期、スマートフォン出荷台数は2億8,150万台に達した。これは前年同期比28.6%増となり、同社の予想である2億6,720万台を5.7%上回る好調な結果に終わった。

フィーチャーフォンを含む携帯電話全体で見ると、総出荷台数は4億4860万台となり前年同期に比べて3.9%増加した。これは同社の予想を下回る数値で、あらためてスマートフォンが市場を引っ張っている構図が続いていることがわかった。第1四半期、スマートフォンが総出荷台数に占める比率は62.7%に達した。これは前年同期の50.7%から12ポイントの増加となる。

IDCのアナリストはスマートフォン好調の要因として、途上国での需要増加、低価格帯の製品ラインアップの充実、4G(LTE)サービスの拡大を挙げている。例えば、中国ではTD-LTEが12月にスタートしているほか、最大のキャリアであるChina MobileがiPhoneの取り扱いを開始するなどの大型ニュースが続いている。

ベンダー別シェアではSamsungが30.2%でトップの座を維持、2位もAppleで上位2社の順位は変わらずだった。しかし、Samsungは成長率22%で出荷台数を増やしたもののシェアは前年同期の31.9%からダウン、Appleも前年同期の17.1%から今期は15.5%とシェア値を下げた。3位はHuawei Technologiesでシェアは4.9%。Huaweiは前年同期比47.3%増と高い成長率を収めた。4位に躍り出たのはLenovoでシェアは4.6%、前年同期比63.3%増と成長率では上位5社中最も高かった。5位はLGで、シェアは4.7%から4.4%に下げた。上位5社では、中国市場を本拠地とするHuaweiとLenovoの2ベンダーが成長、残り3社はシェア値から見ると前年同期から下がった格好だ。

携帯電話全体ではSamsungがシェア24.3%でトップ、次いでNokiaが11.3%、Appleが9.7%となった。4月末にMicrosoftによる買収完了を発表したNokiaは前年同期から18.4%のマイナス成長に終わった。

今後の動向予測として、2014年のスマートフォンの予想出荷台数を12億台としている。これは2013年の10億台から19%の増加となるが、2013年の年間成長率である39%からは大きく縮小することになる。だが市場の鈍化ではなく、Appleの中国参入が本格化、NokiaのAndroidベースの「X」ラインやMicrosoftによる買収など、まだまだ注目ポイントは多いという。

2013年第1四半期から2014年第1四半期世界スマホ市場、上位5社のシェアの推移 資料:IDC