東京都・渋谷のシアター・イメージフォーラムでは、フランスを代表する映画監督であり、ミュージックホール出身の喜劇役者でもあるジャック・タチの特集上映「ジャック・タチ映画祭」が開催されている。開催期間は5月9日まで(全国順次ロードショー)。鑑賞料は一般1,500円、学生・シニア1,200円、小・中・高・会員1,000円。

「プレイタイム」1967年 カラー 124分 (c)Les Films de Mon Oncle - Specta Films C.E.P.E.C.

「ぼくの伯父さん」1958年 カラー 116分 (c)Les Films de Mon Oncle - Specta Films C.E.P.E.C.

同映画祭は、タチの監督作品全6作を完全デジタル復元の決定版にて、日本で初めて一挙公開するというもの。フランス映画史上屈指の超大作(撮影日数345日、総制作費は15億フラン=約1,093億円)であり、自らを破産に追い込んだ野心作「プレイタイム」、タチが演じるユロ伯父さんが活躍するアカデミー賞外国語映画賞に輝いた「ぼくの伯父さん」、遺作であり日本では劇場初公開となる「パラード」、17分の未公開シーンを追加したデビュー作「のんき大将脱線の巻【完全版】」などが上映されている。そのほか、監督や脚本を手がけた短編作品、娘であるソフィー・タチシェフの監督作品など短編7作品も合わせて紹介されている。

また、当初この映画祭は4週間の限定上映の予定だったが、連日満席になるほどの好評につき、6月にシアター・イメージフォーラムにて再上映されることが決定している(詳細は公式サイトなどで発表)。なお、ジャック・タチは1907年パリ生まれ。1946年に短編「郵便配達の学校」を初監督。「ぼくの伯父さんの休暇」(1953年)でタチの代名詞となる「ユロ氏」のキャラクターを確立し、続く「ぼくの伯父さん」(1958年)はアカデミー賞の外国語映画賞を受賞。タチの異様なまでに細部にまでこだわり完璧に創りあげられた映像美は、同時代のオーソン・ウェルズやジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォーらを魅了し、緻密に計算された音楽や音の使い方は、多くのミュージシャンたちに今なお影響を与えている。