データは単にためるだけではコストでしかない。マーケティング戦略に沿った適切なため方を行ってこそ、収益向上をもたらす価値に変えることができるのだ。2014年4月24日(木)、ベルサール新宿グランド(東京都新宿区)で開催されるマイナビニュース主催セミナー「勝つためのビッグデータ~経営の武器となる現実的なデータ活用とは~」には、インテリジェンス・インテグレーターとして流通・小売分野を中心とした多くの企業の「データの使える化」を支援してきたブレインパッドが登壇。「データから読み取る顧客の姿とシナリオベースマーケティングへの応用」と題する講演を通じて、そのノウハウを惜しみなく公開する。

データを活用するためには”料理”が必要

「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」というミッションを掲げ、ブレインパッドは2004年に創業した。企業内に散在しているデータの統合的な蓄積からデータマイニング(分析)、さらにその分析結果に基づいて最適化計算されたアクション(営業/マーケティング施策)の展開、実行結果のフィードバック、効果検証、キャンペーン管理システムの提供にいたるまで、データベース・マーケティングに関する総合的なサービスを一貫して提供。「Intelligence Integrator(インテリジェンス・インテグレーター)」として、クライアント企業の合理的な意志決定を支援し、その収益向上に貢献してきた。

株式会社ブレインパッド プロダクトサービス部 プロダクトインテグレーショングループ グループリーダー 熊谷 誠一 氏

そして2013年7月25日、着実な成長を遂げてきたブレインパッドは、ついに東証一部上場を果たすこととなった。プロダクトサービス部プロダクトインテグレーショングループのグループリーダーを務める熊谷誠一氏はこう語る。
「今回のセミナーでは、設立から今日までの10年間、当社が積み重ねてきた数々の実績に裏付けられたノウハウを皆さまにお伝えしたいと思います」
特に強く訴えたいポイントとして挙げるのが、「データを効果的に活用するためには、それなりの”料理”が必要になる」ということだ。

「ビッグデータへの関心が高まり、多くの企業がさまざまなデータを蓄積することに力を入れ始めています。しかしやみくもにデータを集めるだけでは不十分です。顧客データと伝票データを大量に蓄積すれば、簡単にマーケティングやセールスに活用できると考えていると、当てが外れます。例えば『あるお客さまの直近の買い物は何か』といった問い合わせに即座に答えられるようにしておくなど、大まかな利用イメージを想定した上で、分析しやすい形にあらかじめデータを整えておくことが重要なのです」(熊谷氏)

マーケティングオートメーションサービス部の部長を務める東一成氏も、このように言葉を続ける。
「使われないままに蓄積しておくだけのデータは、余計な”コスト”になってしまいます。蓄積しているデータをマーケティングに活用できる情報に変換し、さらに、その結果をキャンペーンやリコメンデーションなどのアクションにつなげていくシナリオを描くことができなければ、収益向上を実現することはできません」

流通・小売のマーケティングには成功パターンがある

株式会社ブレインパッド マーケティングオートメーションサービス部 部長 東 一成 氏

実際、ネット通販サイトを運営し、大量のトランザクションデータを蓄積しているにもかかわらず、すべての顧客に対して頻繁にキャンペーンメールを一斉配信している企業は少なくない。せっかくのデータを有効活用できていない典型例だ。
「キャンペーンの受け手のニーズや育成シナリオを持たないキャンペーンは、コストの無駄遣いになるだけでなく、お客さまに迷惑メールとして拒否されてしまうなど、逆効果になりかねません。本来、キャンペーンはタイミングを計って打つべきもので、お客さまが必要としているときに、興味を持っていただける商品を厳選してお勧めしてこそ、最大の効果を得られるのです。そのためにも、お客さまの属性や行動履歴を短時間で効率的に分析し、一人ひとりに着目したマーケティングを行わなければなりません」と東氏は強調する。

では、具体的にどんなシナリオに基づいてデータを蓄積し、分析やアクションにつなげていけばよいのだろうか。
「当社が強みとしているB2Cのネット通販など流通・小売分野には、実は『こうやれば短期間で結果が出やすい』というまずは実践すべき成功パターンがあるのです」と熊谷氏は言う。
「例えば、Webサイトのショッピングカート(買い物かご)に商品を入れたまま保留しているお客さまがいた場合、その商品にあと一歩の決め手がなく、購入を迷っていると判断できます。そこにプッシュする意味でその商品そのもの、更に同一商品ジャンルの人気のある類似の商品をお勧めすることで、メールのヒット率や成約率が格段に高まることが、実績や経験的にわかっています。すなわち、お客さまの購買やカートへの商品の投入状況などの直近行動を属性データと紐づけて蓄積することで、お客さまのセグメンテーションからタイムリーなリコメンデーションまでの一連のプロセスを自動化できます」

もちろん、これはほんの一例にすぎない。セミナー当日は、マーケティング・オートメーションを実現する「Probance Hyper Marketing」や、マーケティングに特化したデータ抽出/集計/分析ツールの「exQuick」など、具体的なソリューション紹介やユーザー事例を交えつつ、より実践的なノウハウを公開する予定だ。
「データをうまく活用し、競合他社に差をつけて収益を拡大するためのヒントを、ぜひつかみに来てください」と、東氏は呼びかける。