SAS Institute Japan マーケティング&ビジネス推進 本部長 北川裕康氏

SAS Institute Japanは4月17日、主にデータ・サイエンティストを対象にHadoop上で単一のインタラクティブな分析プログラミング環境を提供するソフトウェア「SAS In-Memory Statistics for Hadoop」を国内で提供開始した。

説明会では、初めにマーケティング&ビジネス推進 本部長の北川裕康氏より同社が進める「モダナイゼーション戦略」について説明が行われた。

現在、企業においては競争が激化するなか、革新的な製品やサービスが求められているうえ、ビジネス環境の変化によって業務課題が増えている一方、日々新たなデータが生成されており、従来の分析環境では対応しきれなくなってきているという。実際、同社の使っているテクノロジーも変化してきており、「自社のテクノロジーも含めて、分析環境のモダナイゼーションを図っている」と同氏は語った。

具体的には、分析のライフサイクルを工場に見立てインダストリー化を図るとともに、エンド・ツー・エンドの分析環境の実現を目指す。同社はエンド・ツー・エンドの分析環境を実現する手段の1つに「Hadoop」を据えている。

SASが実現するエンド・ツー・エンドの分析環境

SAS Institute Japan ビジネス推進本部 アナリティクスプラットフォーム推進 小林泉氏

今回発表された「SAS In-Memory Statistics for Hadoop」については、ビジネス推進本部 アナリティクスプラットフォーム推進担当の小林泉氏が説明を行った。

小林氏によると、同社はHadoop上で分析のライフサイクルを実現することで結果の正確性を図るとともに、意思決定のスピードを改善していくという。そのために、Hadoopベースの製品を「データマネジメント」「データ探索」「予測モデリング」「モデル配置」というライフサイクルごとに提供している。新製品は予測モデリング分野の製品となる。

SAS on Hadoop製品の2014年のロードマップ

同氏は「Hadoopを用いた分析には、機械学習処理のパフォーマンス、分析手法の不足、複雑かつ多様なITスキルの必要性、複数ユーザーの同時利用の制約という課題があるので、これらの課題を解決した製品がSAS In-Memory Statistics for Hadoop」と説明した。

SAS In-Memory Statistics for Hadoopでは、Hadoop上にHadoopが不得意な機械学習を処理するSASのインメモリ・アナリティクス基盤を載せている。

「SAS In-Memory Statistics for Hadoop」のアーキテクチャ

加えて、視覚的にデータを分析できるツール「SAS Studio」を提供しているため、データ・サイエンティストはITに関するスキルがなくても分析作業が行える。「現在、データ・サイエンティストの採用が難しい理由に分析・ビジネス・ITスキルすべてのスキルが求められていることがあるが、SAS In-Memory Statistics for Hadoopを利用すれば、データ・サイエンティストはITスキルがなくても分析が可能になるため、採用の幅が広がるはず」(同氏)だという。