本連載ではAppleが取り組むiPhoneやモバイルサービス、そしてこれから作りだされる未来の生活などについて、ジャーナリストの松村太郎氏が深読み、先読みしながら考えていく。今回は「AppleとSamsungの新たな裁判」をテーマに、そこから見えてくるAppleの意図を読み取ってみる。

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iPhoneとGALAXY Sは、ハイエンドスマートフォンの人気を二分する存在となっている。しかしその状態が気に入らないのがApple。「Samsungの製品開発プロセスにiPhoneを模倣することが含まれている」とは、AppleとSamsungの間で新たに始まった知的財産の侵害を巡る訴訟で述べられたApple側の主張だ。

前回の裁判に続いて、Samsungのモバイル部門トップらによる「デザインの危機」について語られたメールがApple側の弁護士から出された。2010年2月当時のSamsungのデバイスのユーザー体験とiPhoneを比較すると天と地の差で、iPhoneがスタンダードを決めている状況を指摘し、「iPhoneのようなモノを作ることがモバイルキャリアを喜ばせる」という内容だ。

今回新たに始まった裁判では、Appleが有する次の5つの知財をSamsungが侵害し、Appleの得られる利益を損なわせたことが論点となっている。その5つとは次の通りだ。

  • クイックリンク

メールやメッセージの文中から素早くデータを見つけ出し、リンク化する。例えば電話番号や日付、FedExのトラッキング番号などがリンク化され、タップするとそれぞれに必要な動作をしてくれる。

  • ユニバーサルサーチ

SpotlightやSiri等で利用される、端末横断検索。電話帳やスケジュールの情報、アプリなどを串刺しで検索できる。

  • バックグラウンド・シンク

カレンダーやメール、連絡先などをバックグラウンドで同期する。

  • スライド・トゥ・アンロック

端末のロック画面をスライドしてロック解除する機能。

  • プリディクティブ・テキスト

テキストの予測入力機能。