近年、モバイル端末を用いたクレジットカード決済システムが全世界で広がりつつある。これまで、複雑な手続きと高価な専用端末が必要だったクレジットカード決済が簡単かつ安価に導入できるこのサービスは、今後も更なる市場の拡大が見込まれている。
現在、日本国内においても複数のサービスが提供されている。それらは、日本企業と提携した海外サービス、日本のカード会社が独自で立ち上げたサービスなど、様々な特徴がある。今回は、日本国内における主要なモバイル決済サービスについて、その特徴を比較してみよう。

モバイル決済サービスの先駆け米「Square」が日本上陸

Squareホームページ(https://squareup.com/jp

2013年5月、モバイル決済サービスにおける先駆者である米国Square社が、三井住友カードと提携し日本国内におけるサービスを開始した。参入時に同社が提示した3.25%という手数料は、それまで5%前後だったモバイル決済の手数料を、一気に3%台まで引き下げる要因ともなった。また、指定の銀行口座であれば最短翌営業日に入金されるというスピードも魅力の一つである。
日本においては後発であるものの、その影響力は大きく、今後も、業界の動向を左右する存在になると思われる。

PayPalを利用する人には便利な「PayPal Here」

PayPal Hereホームページ(https://mb.softbank.jp/biz/service/paypal/

ネットサービスを中心に世界中で利用されている決済サービス「PayPal」との連携が大きな特徴。「PayPal」のビジネス向けアカウントがあれば決済から最短3日での代金の引き出しが可能となる。一般的に、この種のサービスはホームページ上から申し込むケースが多いが、「PayPal Here」の場合は、提携先であるソフトバンクショップから申し込むことが可能だ。分からない部分をショップのスタッフに尋ねながら手続きが行える点は、他にはないメリットと言えるだろう。

国内ベンチャーの雄「Coiney」

Coineyホームページ(http://coiney.com

日本国内のベンチャー企業によって2012年に提供が開始された「Coiney」。コインの形のかわいらしいリーダーや、Web管理画面、月6回という短サイクルの締め日などにも特徴がある。2013年5月に、決済機能のオープン化を宣言。サードパーティの開発者にも、かんたんに決済機能を導入できるようにするなど、決済機能のオープン化を宣言。

今後、周辺サービスなどとの連携により、利便性の向上が期待されている。提携カード会社はセゾンカードのクレディセゾン社。また、2014年1月より、NTTタウンページが販売取次を開始するなど、更なる成長が予想されるサービスだ。

対応カードの数と楽天銀行との連携が魅力の「楽天スマートペイ」

楽天スマートペイ ホームページ(http://smartpay.rakuten.co.jp

日本国内における同種のサービスの中では、対応するカードが6種類と最も多い。特に、日本国内で多く普及しているJCBカードが利用できることは大きな魅力だろう。また、楽天は自らカード会社と銀行を所有しているため、それらの連携によるサービスも優位点の一つとなる。例えば、楽天銀行の口座であれば、振込手数料が無料になる上、翌日の入金が可能だ。


月次ごとの継続課金が可能な「Lifeペイメント Smart」

Lifeペイメント Smart ホームページ(http://www.lifecard.co.jp/partner/smart.html

クレジットカード会社のライフカードが提供するサービス。サービス開始は2013年11月と、同種のサービスとしては比較的後発にあたる。差別化を図るため、個人経営の商店や飲食店などで利用されるB to Cよりも、B to Bの場面で利用されることを想定したサービスに重きを置いている。特徴的な機能として、継続的に料金を決済する継続課金機能があるため、今後モバイル決済サービス市場が拡大するにあたり、新規参入を考えている企業には注目すべきサービスと言えるだろう。なお、手数料は利用内容に応じて2~10%で変化する。

今回、取り上げた例の他にも、様々な通貨に対応した「PAYGATE」、POSシステムにもなる「Salasee」などのサービスがある。

ここで紹介した通り、提携先のカードや銀行など、条件によって得られるサービスの内容が異なるケースも多く、サービスごとに細かい違いがあることがお分かりいただけただろう。

モバイル決済サービスは、ここ数年の間に生まれた新しいサービスである。今後も、新たな企業の参入など、競争が激化していくことが予想される。ユーザー目線だけでなく企業向けの決済サービスも注目されはじめ、この先この市場がどのように成長していくのか、是非注目していきたい。