フィリップス・レスピロニクスは、イスラエルItamar Medical製の睡眠評価装置「ウォッチパット」を発表した。

睡眠時無呼吸症候群の潜在的な患者は、日本国内に約300万人いると報告されている。この患者が治療を受けるためには、睡眠評価装置を用いた睡眠中の検査による確定診断が必要となる。現在、国内では3種類の睡眠検査方法がある。1つが、脳波、筋電図、心電図、呼吸用のセンサ、および血中の酸素飽和度センサなど、生体信号を検出するセンサを全身約20カ所以上に装着して行う終夜睡眠ポリグラフィ(Polysomnography:PSG)と呼ばれる精密検査で、睡眠中の睡眠状態、呼吸状態などを連続的に記録する。しかし、同検査はセンサの装着部位が多く、患者への行動制限や負担が大きい。また、入院して高度な手技による検査を受ける必要があるため、国内で同検査を実施できる医療機関は限られている。

この他に、呼吸用センサ、および血中の酸素飽和度センサを用いる携帯型睡眠評価装置や、圧力センサおよび血中の酸素飽和度センサを用いる多点感圧睡眠評価装置による検査がある。これらは、高度な手技を必要とせず院内および在宅で検査できるが、精密検査のPSGに比べ、睡眠状態を正確に評価できないため、睡眠時無呼吸症候群の程度を過小評価する可能性がある。

これらに対し、「ウォッチパット」は、従来の呼吸用センサや圧力センサを用いず、指先の末梢動脈波を精度良く測定することで睡眠検査できる。末梢動脈波を検出するPAT(Peripheral Artery Tonometry:末梢動脈波測定法)プローブ、血中の酸素飽和度を検出するオキシメータセンサ、およびいびき・体位センサ(一体型)を患者に装着し、得られたデータを付属の専用PCソフトウェアで複合的に解析処理を行う。これにより、従来の携帯型睡眠評価装置で測定する1時間当たりの無呼吸低呼吸指数に加え、覚醒、睡眠(軽睡眠、深睡眠、REM睡眠)段階の情報を同時に測定できる。また、携帯性、装着性にも優れ、院内のみならず在宅での検査にも対応する。

なお、価格は78万円(税別)、レンタル料金は月額2万2000円(税別)。全国の医療機関に向けて販売、レンタルを開始している。

睡眠評価装置「ウォッチパット」