JGマーケティングは3月18日、学生向けの議員インターンシップを実施しているNPO法人 ドットジェイピーと共に、国会議員や選挙立候補予定者が資金を調達できるクラウドファンディングサービスを提供すると発表した。

JGマーケティング 代表取締役 佐藤 大吾氏は、NPOの活動を支援する日本のJustGiving 代表理事でもあり、ドットジェイピーの設立にも関わっている。JGマーケティングが運営するクラウドファンディング「ShootingStar」では、2月の東京都知事選に立候補した家入 一真氏のプロジェクトを取り扱い、744万円の資金調達に成功している。

ShootingStarで2月に実施された家入氏のプロジェクト

クラウドファンディングは、米国を中心に広まった資金調達手段のひとつ。インターネットを通じてプロジェクトを応援する人から資金を提供してもらい、多くの場合には、支援額に応じたギフトが設けられている。プロジェクトには目標金額が設定され、この金額を超える支援が集まると支援金が決済され、実際にプロジェクトが動き出す仕組みとなっている。

クラウドファンディングは、主にクリエイターやモノづくりなどのプロジェクトで多く行われており、米Kickstarterではこの3月に支援の累計額が10億ドル(約1000億円)を突破した。

今回の取り組みでは、JGマーケティングが運営するクラウドファンディングサイト「ShootingStar」に、同日より議員や立候補予定者に特化した政治版クラウドファンディングを公開。同社によると、政治に特化した購入型のクラウドファンディングサービスとしては、国内初の取り組みになるという。議員にとっては活動資金を調達する新たな手段として利用でき、支援者にとっては、議員個人も含め、どのようなプロジェクトなのかを確認した上で参加できるといったメリットがある。また、プロジェクト目標金額を達成したプロジェクトのみ資金が議員の手に回るため、支援金の行方がはっきりと分かり、若い世代にとって慣れ親しんだネットを通じて政治に関心を持つきっかけとなることも期待される。

なお、公職選挙法などにより「地域のお祭で縁日を」「地域イベントの開催」など利益供与とみなされるプロジェクトや、公示・告示前の供託金集めなどといったプロジェクトは不可。また、献金とは性格が異なるため、資金提供者は税控除を受けられない一方で、見返り(ギフト)の受け取りや外国人の資金提供などが可能になるといった特徴がある。

JGマーケティングの佐藤氏は「ネットでの献金サービスは既にあるが伸び悩んでいる。これとは違った新たな方法にチャレンジしてみようと思った。実現には、政治資金規正法や公職選挙法などの規制をクリアするのに2年かかったが、(パーティー券などの20000円の献金ではなく)3000円から10000円程度の資金提供(支援)ならというライト層をサポートする取り組み」と述べた。

JGマーケティング 代表取締役 佐藤 大吾氏

今回の発表に合わせ、衆議院議員や県議会議員などによる12のプロジェクトが公開された。このうち、自由民主党 西村 康稔衆議院議員のプロジェクトは「マダカスカルの日本人・特殊潜航艇乗組員の慰霊碑を改修したい!」というもの。アフリカ・マダカスカル島にある老朽化した慰霊碑を修復する内容で、プロジェクトの目標金額は5万円。ギフトは西村議員の直筆サインなど。

西村議員は「若い層はパーティー券などは自分たちとぜんぜん違う世界だと思われる方も多いと思います。小口の資金を幅広く、ネットという透明なカタチで支援を頂くというクラウドファンディングは、すぐに広がるものとは思っていませんが、将来は必ず広まってくるものだと思います。超党派でこうした動きを作っていければと思います」と期待を述べた。

西村 康稔衆議院議員は、特殊潜航艇乗組員の慰霊碑修復プロジェクトを立ち上げた

また、同じく自由民主党 小林 史明衆議院議員は、2013年のフィリピン台風被災における医療支援と復興支援を目的として救急車を贈るプロジェクトを立ち上げ、500万円の目標金額を掲げた。ギフトには小林議員とのスカイプ会話や、議員と共にタクロバンを訪れるツアーなどが用意されている。

小林議員は「クラウドファンディングの普及に取り組むことに加え、政治家だけではなく民間の方も一緒に政治活動ができるということを体現すべく今回チャレンジします。皆さんの力を借りて、フィリピンの私立病院に救急車を贈るという支援を届けたいと思っております」と語った。

小林 史明衆議院議員は、目標金額500万円のフィリピン医療支援プロジェクトを

民主党の細野 豪志衆議院議員は、これまでの「福島県外の高校生とともに福島で稲刈りをする」「元プロ野球選手 古田敦也の出張野球教室を福島県郡山市で開催」などをShootingStarで実現した経験をふまえ、「(今回の政治版クラウドファンディングを)どのように使うかはまだ決めていませんが、ShootingStarのプロジェクトではメッセージが具体的であればあるほど説得力があることを実感しました。政治家としてクラウドファンディングを進めるときも、具体的なメッセージをこめて幅広く支援を頂けるようにと思っています」と期待を語った。

民主党 細野 豪志衆議院議員

今回、公開されたプロジェクトはShootingStar 政治版クラウドファンディングで確認できる。