マイナビニュース、雑誌+DESIGNING、雑誌Web Designingの3媒体が、様々なジャンルのクリエイターたちを100人連続で紹介していく人気企画。第96回は、映画監督の内藤瑛亮が登場。

内藤瑛亮プロフィール

1982年生まれ。愛知県出身。映画美学校フィクションコース11期生修了。短篇『牛乳王子』が学生残酷映画祭2009・スラムダンス映画祭2010等国内外の映画祭に招待される。2010年、BS-TBS『怪談新耳袋 百物語』の一篇にてTVドラマを初演出する。2012年、長編第一作『先生を流産させる会』が全国劇場公開され、論争を巻き起こす。2013年、ミュージシャン・転校生が原案・主題歌を担当した短篇『救済』を監督。

Q&A

――この仕事に就こうと思った年齢ときっかけは?

内藤瑛亮(以下、内藤)「漫画を描いたり、演劇をやったりしていたんですが、うまくいかず、もしかして自分の資質に合っているのは映画かもしれないと思い、撮り始めたら、初めて評価して頂くことができ、こちらが自分の進むべき道なのだろうと実感しました。商業映画をやっていこうと思ったのはつい最近です。30代になるちょっと前。自主映画をやっていく道もありましたが、自分がつくりたい作品や届けたい観客を考えたときに、商業の世界で闘っていく必要があると思い決めました」

――これまでで一番思い入れのある仕事は?その理由や思い出を教えてください。

内藤「『先生を流産させる会』という作品の現場で、メインキャストを演じた素人の女子中学生たちから多くのものを学びました。彼女たちは素人ですから、緊張するだろうなと思って、積極的に話しかけたんです。ご飯も出来る限り一緒に食べました。空き時間にはゲームをして遊ぶこともありました、信頼関係が築けたことで、彼女たちはリラックスして撮影に望むことができ、凄く魅力的な表情を見せてくれました。それはこれまで自分が役者から引き出すことができなかった表情でした。実際、完成後に最も評価を受けたのは彼女たちの演技でした。これまでの僕は役者とのコミュニケーションをおざなりしに、イメージを一方的に押しつけてしまっていたんだと、問題点に気づかせてくれました。今は役者とのコミュニケーションを大事にし、その人が持つ魅力を引き出すよう努力しています」

――この仕事を辞めようと思ったことはありますか?また、そのきっかけは何ですか?

内藤「ないです」

――これから取り組んでみたいこと、関わってみたい仕事は何ですか?

内藤「人が死ぬ映画ばかり撮っているので、人が死なない映画を撮ってみたいです」

祖父の形見である腕時計

――愛用している、思い入れのある道具や本、ものを教えてください。

内藤「祖父の形見である腕時計」

――尊敬している人を教えてください。

内藤「父と祖父です。働くことへの意識の高さに、年を重ねるごとに尊敬の念が強まっていきます」

――アイデアを練る場所、時間などを教えてください。

内藤「自宅や喫茶店で悶々と考えることが多いですが、大抵は思いつかず、帰り道や息抜きに散歩しているときに閃くことがあります」

――1カ月で仕事をしない日は何日ありますか?

内藤「休みがないときもあれば、休みばかりのときもあります。仕事のない時期も、何か使えるネタはないか、情報収集をするようにしています」

――理想的なオフの過ごし方は?

内藤「1日にまとめて映画を数本観るので、映画館のハシゴをします。観たい映画と、上映時間や移動時間のバランスが難しいのですが、タイミングよく5本観られると嬉しいです」

――趣味やコレクションなど、いま、個人的にハマっていることを教えてください。

内藤「白石一文の小説を昨年初めて読んで、めちゃくちゃ面白かったので、過去作をひたすら読んでいます」

――お酒を飲みますか?週何日、どのくらいの量を飲みますか?

内藤「毎日」

――同業でよく飲みにいく、食事をする人は誰ですか?

内藤「映画学校の同期と。いまも一緒に映画作りをしているので、打ち合わせ後に毎回飲みます。映画学校時代の先生である古澤健監督の新作が公開されると、同期と初日に観て、飲むのが恒例行事になっています」

作品紹介

写真左:『先生を流産させる会』
写真右:映画『パズル』(2014年3月8日公開)