ルネサス エレクトロニクスは2月26日、32ビットマイコン「RX」ファミリのフラグシップ製品として、40nmプロセスを採用した「RX64M」グループ112品種を発表した。

近年、ファクトリオートメーションに代表される産業機器やビルディングオートメーションなどにおける組み込みネットワーク機器の市場が急速に拡大している。これらの分野ではCPUの高い演算能力やリアルタイム性能の向上と同時に、さらなる低消費電力化が求められている。また、システムの多様化に加え、EthernetやUSBなど、様々な通信機能をサポートするため、使用するメモリ容量は年々増大する傾向にある。しかし、外付けメモリを使用すると、第3者へのプログラムやデータの漏えい、および小型化や低コスト化のニーズに対して部品点数、基板面積の増大が課題になることから、マイコン内蔵メモリの大容量化ニーズが高まっている。さらに、システムの大規模化、複雑化に伴い、ソフト/ハードウェアの開発工数は増加傾向にあり、開発効率を向上させ期間を短縮することが課題となっている。

「RX64M」グループは、40nmプロセスの採用により、120MHzのノーウェイトアクセスが可能で、最大4MBのフラッシュメモリと最大512KBのSRAMを搭載するとともに、従来品の「RX63N」と比べ動作時消費電流を40%低減した。また、CPUとして新アーキテクチャの「RXv2」コアを搭載することにより、「RX63N」に比べ1.6倍となる504Coremark(目標値)の高いCPU性能を実現している。これらにより、リアルタイム性能と低消費電力性能の向上、外部メモリの削減によるコスト低減を実現した。

また、通信機能の拡充や汎用PWMタイマの追加、従来品の「RX600」シリーズに搭載した各種機能の継承により、従来品と高い互換性を有している。中でも、産業向けアプリケーションでニーズの高いIEEE1588対応のEthernetや、モータ制御用タイマの搭載により、システム間の同期性能の向上や各種モータ制御に対し柔軟に対応できる。さらに、汎用シリアル通信の他、USBとEthernetの2チャネル化(176ピン、177ピン)、SDホストインタフェース、QSPIインタフェースといった高速通信機能をサポート。その通信自体の信頼性、堅牢性を高める暗号機能も内蔵している。

この他、新製品に対応する開発ツールとして、Cコンパイラ、デバッガ、フラッシュ書き込みツール、OS、ミドルウェアを用意したのに加え、ルネサス製マイコンを実装したリファレンスボードとマイコンの評価や初期導入に必要な開発環境がセットになった「Renesas Starter Kit」、各種周辺機能のドライバソフトをパッケージ化した「RX Driver Package」を提供するとともに、GUIによる対話形式で周辺機能の設定プログラムを自動生成するコード生成ツールを準備するとしている。

なお、すでにサンプル出荷を開始している。量産は8月より開始し、2015年2月には月産50万個体制を構築する計画。ツールチェーンは3月末より順次提供を開始する。

ルネサスの産業機器向けに大容量メモリを搭載した32ビットマイコン「RX64M」グループ