楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズは2月19日、同社のスマートフォン向け通話サービス「楽天でんわ」において、国際電話サービスを提供開始した。対応する32の国・地域への国際電話が10円/30秒で利用できるというもので、低価格な通話料で電話をかけられる楽天でんわの使い道が国際電話にも広がった。また、国際電話サービスの開始に合わせて、2月21日から22日までの間、国際電話料が実質無料になるキャンペーンも実施される。
2013年12月に提供開始された楽天でんわは、スマートフォンの専用アプリから通話発信することで、国内通話を通話料10.5円/30秒(税込)で利用できる通話サービスだ。携帯キャリアが提供するスマートフォンの一般的な通話料と比べて半額で利用できるのが特長で、提供開始から16日間で専用アプリが累計25万ダウンロードするなど人気のサービスとなっている。なお、楽天でんわはスマートフォンだけの通話サービスではなく、フィーチャーフォンからも利用可能だ。
本稿では、楽天でんわの料金やサービスを改めておさらいするとともに、スマートフォンやフィーチャーフォンでどのような料金プランを使っている場合、楽天でんわで通話料を節約できるのかを改めて考えてみたい。
通話料10.5円/30秒で通話できる「楽天でんわ」とは?
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク各社から販売されているiPhoneなどのLTE対応スマートフォンでは、無料通話分が含まれておらず、国内通話の通話料が21/30秒と割高な通話料が一般的となっている。そのため、通話するごとに料金がかさみ、通話する機会が多いと毎月の通話料が高額になる可能性がある。
楽天でんわは、10.5円/30秒という通常の半額の通話料で電話をかけられるサービスで、高額になりがちなスマートフォンの通話料を節約するのに役立つ。利用するにはあらかじめWebサイトで利用登録を行い、iPhone、Androidスマートフォン向けの専用アプリをダウンロードすればよい。あとは、アプリから通話発信することで、10.5円/30秒の通話料で電話をかけられる。初期費用や月額基本料は無料で、通話料のみの支払いとなる。
なお、楽天でんわは、相手の電話番号の頭にプレフィックス番号を付加することで、フュージョンの電話回線を使い、格安の通話料で通話できるサービスとなっている。スマートフォンアプリの場合、プレフィックス番号が自動で付加される仕組みになっているが、フィーチャーフォンでも、「003768」というプレフィックス番号を直接ダイヤルして付加すれば、楽天でんわによる通話が可能だ。
楽天でんわの利用はiPhoneの料金プランでお得になるか?
それでは、楽天でんわの利用が、携帯各社の具体的な料金プランでお得になるのかを考えてみよう。まず、各社が販売しているiPhoneの一般的な料金プランをまとめると以下のようになる。
先述の通り、各社のiPhoneでは、無料通話分がなく通話料21円/30秒という料金プランが一般的だ。キャリアによっては、他の料金プランが用意されている場合もあるが、MNPや割引のキャンペーンの対象となるためには、上記の料金プランへの加入が条件となっているなど、実質的に"それしか選べない"というのが現状だ。
無料通話分がなく通話料21円/30秒という料金プランの場合、10.5円/30秒の楽天でんわを利用すれば通話料が半額になる。そのため、これらの料金プランで通話料を節約したいなら、楽天でんわを利用しない手はないと言えるだろう。
なお、KDDIとソフトバンクでは、それぞれ「通話ワイド24」「Wホワイト」という通話料が10.5円/30秒になるオプションサービスを提供している。スマートフォンの購入時には、"たくさん通話する人向け"としておすすめされるオプションであり、キャッシュバックなどを受ける際にこれらのオプションへの加入が必須となる場合もある。では、これらのオプションと楽天でんわを比較してみよう。
キャリアのオプションサービスと楽天でんわを比較したときの違いは、通話ワイド24とWホワイトが月額980円となっているのに対し、楽天でんわは月額料金無料で利用できることだ。通話料は10.5円/30秒で同様であるため、楽天でんわのほうが毎月980円お得になる。980円は、楽天でんわでは約46分の通話料に相当するため、同じ利用料金で楽しめる通話時間にかなりの違いが出てくるはずだ。
キャリアのオプションサービスは、加入後数カ月は無料期間となっていることも多いが、以降は月額料金が必要になる。iPhoneの購入時に通話ワイド24やWホワイトに加入し、そのまま使い続けているという人は、オプションを解約して楽天でんわを利用することを検討してみるとよいだろう。
なお、KDDIのLTEプランや、ソフトバンクのホワイトプランでは、1時から21時までの同一キャリア内の通話が無料となっている。これらの無料通話の相手に電話をかける際、楽天でんわを利用すると無料通話の対象とならないため注意が必要だ。そこで、楽天でんわの専用アプリでは、「無料通話リスト」が用意されており、あらかじめ登録しておいた電話番号には、楽天でんわではなく通常発信で電話をかけられるようになっている。同リストを使ってキャリア内の無料通話も活用することで、iPhoneの通話料をより節約できるだろう。
フィーチャーフォンの料金プランでも楽天でんわがお得!?
次に、フィーチャーフォンの料金プランにおける楽天でんわの活用について考えてみたい。 一般的には、「安い」とされているフィーチャーフォンの料金プランだが、実際はどうなのだろうか?
ここでは、ドコモのFOMA携帯の一般的な料金プランであるバリュープランを見ていこう。
バリュープランでは5つのプランが用意されており、それぞれ月額基本料や無料通話分、通話料が異なっている。月額基本料が高いプランのほうが、無料通話分が多く、30秒あたりの通話料が安くなっているのが特長だ。
これらの5つのプランに加え、月額基本料が最も安い「タイプSS バリュー」と楽天でんわを併用した場合で、月間の通話時間と通話料金の関係をグラフで表すと以下のようになる。
いずれの料金プランでも無料通話分を使い切った後は、比例的に料金が増えていくが、月間の通話時間が590分までは、楽天でんわを併用する場合が最も安い。また、月額基本料が高いプランの場合、無料通話分を使い切らない月でも料金は高いまま一定となるが、楽天でんわとタイプSS バリューを併用する場合は、ほぼ比例状態となるため、あまり通話をしなかった月の料金を低く抑えることができる。
毎月590分以上通話をしているというヘビーユーザーでない限り、楽天でんわとタイプSS バリューという組み合わせはかなり魅力的で、電話を多くかけた月も、あまりかけなかった月もフィーチャーフォンの通話料金を節約できると言えるだろう。
ついに国際電話にも対応! 通話料は一律10円/30秒
冒頭でも紹介した通り、楽天でんわでは国際電話サービスが開始され、海外にも格安の通話料で電話をかけられるようになった。国際電話では、アメリカや中国、英国など32の国・地域に通話発信でき、通話料は国内電話と同等で一律10円/30秒(非課税)となる。
たとえば、携帯キャリアの国際電話でアメリカに通話発信する場合、1分あたりの通話料はドコモが68円、KDDIが44円、ソフトバンクが78円などとなるため、1分あたり20円の楽天でんわの国際電話がいかに安いかがわかる。
なお、楽天でんわの利用登録が済んでいれば、追加の手続きは不要で国際電話を利用できる。専用アプリの場合は「国番号+相手先電話番号」、直接ダイヤルする場合は「003768+国番号+相手先電話」を入力することで通話発信が可能だ。
また、サービス開始に合わせて、国際通話料が21日0時0分から22日23時59分までの間、実質無料になるキャンペーンが実施される。楽天でんわに登録していれば、エントリー不要で参加でき、キャンペーン期間内に開始・終了した60分未満の通話が無料となる。
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各社のスマートフォンでは、無料通話分がなく通話料が割高な料金プランが一般的になっており、利用者にとっては通話料をいかに節約するかが課題だ。そこで検討したいのが楽天でんわであり、通常の半額となる10.5円/30秒という通話料で電話をかけられるのが魅力だ。また、無料通話分があるフィーチャーフォンの料金プランでも、楽天でんわを利用することで通話料を節約できる場合がある。
今回、楽天でんわでは国際電話サービスも開始され、海外にも低料金で電話をかけることが可能になった。この機会に楽天でんわを試すとともに、スマートフォンやフィーチャーフォンの料金プランもあわせて見直してみてはいかがだろうか。