STMicroelectronicsは2月14日、コンスーマ、ヘルスケア、産業機器などさまざまな用途で、バッテリ駆動時間を延長させる32ビットマイコン「STM32L0」シリーズを発表した。

同製品は、32MHzのARM Cortex M0+プロセッサコア、省電力の12ビットA/Dコンバータ(ADC)、および外付け水晶振動子不要のUSB FS 2.0ソリューションが特徴となっている。ADCは、変換速度100ksps時の消費電流が40μAで、変換速度1.14Msps時にも200μAまでしか上昇しない。プロセッサコアと超低消費電力ペリフェラルの両方が、高い電力効率を実現しているため、使い捨てバッテリで駆動するフィットネス機器や住宅用火災検知器などの機器でバッテリ交換の頻度が下がり、コストおよび使用済みバッテリによる環境負荷を低減することができる。例えば、使い捨てコイン型バッテリから給電される「STM32L0」搭載のフィットネス機器は、バッテリ交換が必要になるまで最大2年間動作する。

また、さらに小型のバッテリを使用した機器設計が可能になるため、血糖値計および急速に進歩しつつある携帯型ヘルスケアフィットネス機器などにおいて、サイズおよびコストの低減を図ることができる。加えて、25℃~125℃の動作温度範囲内の消費電力変動を抑えることで、温度上昇時の消費電力レベルの低下を実現する。そのため、特に産業分野において、バッテリ駆動もしくは環境発電(エナジーハーベスティング)するセンサアプリケーションに最適となっている。

「STM32L0」シリーズは、Accessライン、USBライン、USB/LCDラインの3種類の製品ラインで構成されている。全ての新製品に共通する特徴は、複数のモードで極めて低い消費電力を実現していることで、32MHz時に139μA/MHz、最適化モード時に87μA/MHzとなっている。ストップモード時の消費電流はわずか400nAで、RAMデータは完全に保存され、ウェークアップ時間は3.5μsである。

さらに、同シリーズは、独自のCMOS技術を採用する他、最大64Kバイトのフラッシュメモリ、最大8KバイトのSRAM、2KバイトのEEPROMを内蔵している。また、内蔵ハードウェアのオーバーサンプリング機能により、ADCの分解能を16ビットに設定することも可能。そして、USB FS 2.0インタフェースを内蔵した製品は、バッテリ充電検出機能およびリンクパワーマネージメントに対応している。USBを使用する場合、内蔵の48MHzオシレータにより、外部水晶を使用することなく動作できる。その他、全ての製品ラインにおいて、ハードウェア暗号化機能(AES)をオプションとして搭載できる。

なお、パッケージは5mm角のUQFN32、7mm角のLQFP32、7mm角のLQFP48、10mm角のLQFP64、5mm角のBGA64。価格は1000個購入時で約0.85ドル。現在サンプル出荷中で、2014年第2四半期に量産を開始する予定。

STの新32ビットマイコン「STM32L0」シリーズ