また、現在「ハイレゾ音源」と呼ばれる、CDよりも高いクオリティで収録された音楽に注目が集まり始めた。iTunesではまだ取り扱いはないが、それまでCDの規格や流通、再生機器に縛られてきた音楽の録音品質が、デジタル化によって解放された。データの受け渡しや保存などをどうするかはこれから解決すべきことになる。

デジタルのメリットがある反面、筆者はどうしても音楽ショップの店頭とiTunes Storeの画面を同じように使いこなせずにいた。おそらく店頭よりも試聴できる楽曲数は大幅に増え、クリックだけで聴ける手軽さもあるが、手に取りながらイメージを膨らませることができなくなってしまったというか……。

そうしたノスタルジーを引きずりながらも、音楽に上手く積極的になれなくなる自分にもどかしく感じている日々があり、あまり音楽を買わなくなってしまった。

iTunes Radioは好みと出会いを最適化する

そんな中で、人々に音楽との新しい出会い方、つきあい方を演出しているのが、ストリーミング型のラジオだ。

米国ではPandra、Spotifyといった先行サービスが人気を博しており、2013年にはAppleがiTunes Radioを、GoogleがGoogle Play Music All Accessをそれぞれリリースした。日本でもソニーが「Music Unlimited」という同様のサービスを月額980円で提供している。

いずれのサービスも、有料、無料、広告の有無はあるが、自分の好きなラジオステーションを選ぶように、アーティストや楽曲、アルバムを選び、そこから似た曲を再生し続けてくれる仕組みになっている。そして、本物のラジオではなく、インターネットを通じたストリーミングで、スマートフォンからの利用にフォーカスしている点も特徴と言えるだろう。