昨年2013年のHTCは製品出荷の遅れによる販売機会損失にとどまらず、スパイ容疑での幹部社員の逮捕など、非常に苦しい時間を味わった。だが2014年に関しては明るい見通しを抱いており、また新製品カテゴリとなるウェアラブルデバイスのホリデーシーズン商戦前の市場投入も計画しているなど、反転攻勢に向けた動きを強めつつある。

同件は米Bloombergが台湾HTC CFOのChang Chialin (張嘉林)氏へのインタビューとして2月6日(米国時間)に報じている。前述のように、2013年のHTCはフラッグシップの「HTC One」の供給遅れによる販売損失や、Facebookスマートフォンとして華々しくデビューした「HTC First」の大失敗、さらに夏過ぎには次期フラッグシップとして投入を計画していた「HTC One Max」発表前に企業秘密が漏洩し、内部スパイ事件としてデザイン担当幹部らが逮捕されるなど、非常に苦しい時間を味わっていた。結果として同年の売上は前年比30%のダウンとなり、スマートフォン市場のシェアでもLG Electronicsや、新興勢力Lenovoらに順位を明け渡す形となった。製品リリース遅れにとどまらず、マーケティング予算の大幅縮小などもあり、反転攻勢が難しかったという事情もある。

だが張氏によれば、2014年の見通しは前年と比較してポジティブで楽観的だとしており、そうした苦境から脱する見込みだという。またウェアラブル市場への参入も示唆しており、今年のクリスマスシーズンまでには対応製品を投入していきたいとしている。「われわれは長年にわたってスマートウォッチやウェアラブル市場に注視しているが、それにはバッテリや液晶バックライトの問題解決が必要だ」と同氏はコメントしている。つまり、技術としてメインストリームで利用するのはまだ課題があるというわけだ。

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