ヴイエムウェアは2月7日、2014年の事業戦略記者説明会を開催した。同社代表取締役社長の三木泰雄氏は2013年の業績を振り返るとともに、2014年も継続してコンサルティング・サービスの強化を明言。「超上流工程からインフラ全体を俯瞰し、お客様の課題を解決するサービスを拡充する」姿勢を明らかにした。

ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏

冒頭、三木氏は2013年度の決算に触れ、「米国VMwareの通期売上高は前年比13%増、第4四半期売上高でも前年同期比20%増を達成した」と強調。国別の決算は公表していないものの、「日本はグローバル以上に好調な数字」とし、ビジネスの堅調ぶりをアピールした。

同氏は2013年の日本市場における同社のビジネスを振り返り「Software-Defined Data Center(以下、SDDC)」「エンドユーザーコンピューティング」「ハイブリッドクラウド」の3分野で実績を挙げたことを紹介。SDDC分野では、6月にNTTコミュニケーションズがクラウド製品基盤に「VMware NSX」(ネットワーク仮想化技術)を採用したことや、9月に菱化システムがグループ会社429社のクラウドサービス基盤に「VMware vCloud Suite」を採用したことを紹介した。

また、ハイブリッドクラウドの分野では、ベネッセのIT関連会社であるシンフォームのIT基盤として、ハイブリットクラウド(社内のプライベートクラウドとIIJのハイブリッドクラウド)環境を構築したことも明らかにし、「VMware認定技術者の総数は、1万人を突破した。今後も仮想化環境構築支援に注力していく」と語った。

「Software-Defined Data Center」から
「Software-Defined Enterprise」へ

2014年の展望として三木氏は、「ソーシャル」「モバイル」「クラウド」「ビッグデータ」の分野がトレンドであるとし、今後は、「IT as a Service(IaaS)」の実現が重要になると指摘した。「(モバイルの急速な普及などで)アプリやユーザーの数が飛躍的に伸びているが、過去10年間を見ると、IT部門の予算は増加していない。そうした状況では、従来の開発/管理手法では限界があり、新しい仕組みが必要だと」と説く。

それを解決するためには、従来からあるソフトウェア資産を活用し、効率よく運用/管理することでコストを削減し、新たな環境構築に振り分けるがが重要であると指摘する。そして、その基盤を支えるのが「Software-Defined Enterprise」だと述べた。

かねてから同社は「利用者がどこからでも自分の使いたいアプリケーションにすぐアクセスできるIaaS環境を構築することが重要であり、IaaS環境を実現するのが、SDDCであるとしている。SDDCはネットワークやストレージといったデータセンターの構成要素をすべて仮想化し、ポリシーベースで自動化する概念だ。

今回、三木氏はSoftware-Defined Enterpriseについて、「データセンターの中だけを仮想化するのではなく、VDIを含めたエンドユーザーコンピューティングの分野までも視野に入れたインフラの構築がSoftware-Defined Enterpriseだ」と語った。

Software-Defined Enterpriseの構成要素。中核となるのはSDDCであり、コンピューティング、ネットワーク、ストレージのインフラを抽象化し、ハードと分離してソフトでコントロールできるようにし、プール化する

また、コンサルティング・サービスの強化では、人員も含め「積極的に増強」(同社)している。実際、2012年末には45名程度だったコンサルタントは、2013年に75名に拡大。2014年末までには100名超の組織になる予定だという。

最後に三木氏はパートナーエコシステムの拡大にも言及。「通信キャリア/ネットワーク企業だけでなく、新たな分野でのパートナー協業も拡大したい」と語った。