日本政策金融公庫はこのほど、小売業・飲食店・宿泊業・旅客運送業(個人タクシーを除く)の業種で、外国人観光客の多い都道府県の事業者を対象に実施した「外国人観光客の受け入れに関するアンケート」の結果を発表した。

同調査は、2013年8月に郵送にて行われ、日本公庫の融資先2,643社から有効回答を得た。

それによると、客の中に外国人観光客が「よくいる」と回答した企業は4.6%、「たまにいる」とした企業は47.8%で、合わせて52.4%を占めた。業種別に見ると、「よくいる」と「たまにいる」の合計が最も多かったのは「宿泊業」の78.0%、次いで、「旅客運送業」の66.7%、「飲食業」の63.4%となった。

1カ月当たりの外国人観光客の数は平均41.6人。「よくいる」と答えた企業に限定した場合は平均243.2人に上り、「たまにいる」とした企業では平均10.1人にとどまった。

外国人観光客の出身国・地域を調べたところ、「中国」が61.0%でトップ。以下、「韓国」が52.3%、「米国」が47.7%、「台湾」が38.5%と続いた。

最近3年間の売上高を見ると、顧客の中に外国人観光客が「よくいる」と回答した企業のうち、売上高が「増加傾向」にある割合は39.5%で、「いない」企業の19.0%と比べて2倍以上に達した。

外国人観光客の有無と最近3年間の売上高(出典:日本政策金融公庫Webサイト)

採算についても、最近3年間が「黒字」と答えた割合は、外国人観光客が「よくいる」企業では37.0%に上り、「いない」企業の31.3%を上回った。また、外国人観光客が「よくいる」企業は「赤字」の割合も23.5%と最も少なかった。

ホームページを「開設している」割合は、外国人観光客が「よくいる」企業では70.3%、「いない」企業では42.5%。クレジットカードに「加盟している」割合は、「よくいる」企業では68.9%、「いない」企業では48.0%だった。

客が利用できるWi-Fi(無線LAN)アクセスポイントが「ある」割合は、外国人観光客が「よくいる」企業では51.8%、「いない」企業では17.5%。外国語の商品説明や看板、店内のパンフレットなどが「ある」割合は、「よくいる」企業では46.6%、「いない」企業ではわずか3.8%だった。

今後、外国人観光客を「積極的に受け入れていきたい」と回答した企業は11.3%、「受け入れてもよい」とした企業は53.2%で、計64.6%。業種別に見ると、"受け入れ派"は「宿泊業」「旅客運送業」で多かった。

外国人観光客を増やすために今後取り組みたいこととしては、「商工会議所・商工会や観光協会など公的機関との連携」が26.3%で最多。次いで、「外国人向けのメニューやパンフレット等の作成」が20.4%、「外国語に対応できる人材の確保」が20.3%となった。