岡山大学は1月22日、自己免疫性膵炎やミクリッツ病などの「IgG4関連疾患」で病因に関与しているTh2およびTreg系サイトカインを、マスト細胞が産生していることを解明したと発表した。

同成果は、同大大学院医歯薬学総合研究科病理学分野の佐藤康晴 講師、竹内真衣 大学院生、吉野正 教授らによるもの。詳細は、米国・カナダ病理学会公式雑誌「Modern Pathology」電子版に掲載された。

IgG4関連疾患は、日本人が発見した病気で、全身のさまざまな臓器(涙腺、唾液腺、皮膚、肺、膵臓、肝臓、胆管、リンパ節など)に腫瘤をつくる良性の病気。腫瘤をつくるため画像検査などで「がん」と間違われやすく、病気が知られる以前は、がんを疑われて病変部を切除される患者も多くいたという。現在は、厚生労働省の「難治性疾患等克服研究事業」の中で研究班が設置され、研究が進められている。

そうした各所の研究から、IgG4関連疾患の患者では、Th2およびTreg系サイトカインが上昇していることが判明しており、その産生細胞として「Tリンパ球」が考えられていた。

しかし、今回の研究では、そうしたTリンパ球ではなく、アレルギーと関係が深いと言われているマスト細胞がこれらのサイトカインを産生していることが判明したという。

IgG4関連疾患の治療としては、一般的にステロイド治療による改善が知られているが、100%治るわけではなく、しばしば再発する例もみられるという課題がある。また、近年の研究からIgG4関連疾患になると発がんリスクが高まる、という統計学的なデータも報告されるようになってきており、免疫力を抑えるステロイドを長期間服用することによる体への影響などを考慮する必要が出てきている。

なお、今回の成果について、研究グループでは、IgG4関連疾患の根本的な治療法の開発に向けた、マスト細胞をターゲットとした、ステロイドに代わる新規治療法の開発へつながる可能性を示したものと説明している。

マスト細胞がインターロイキン4、インターロイキン10、TGFβなどのTh2やTreg系のサイトカインを産生することで、IgG4関連疾患の特徴所見である腫瘤を作ったり、血液中の免疫グロブリンであるIgG4やIgEの上昇、あるいは白血球の1種である好酸球の増加を引き起こす