茨城日立情報サービスは1月22日、鋳造シミュレーションシステムの最新版「ADSTEFAN Ver.2014」を同日より発売すると発表した。

「ADSTEFAN」シリーズは、ブラックボックスである鋳型内への溶融金属流入状態や凝固過程をシミュレーションし、その過程を三次元で視覚的に表現することで、鋳造欠陥を事前予測などができるシステム。1999年に初期バージョンを発売して以降、解析処理の高速化や操作性の向上などの研究を進め、毎年バージョンアップをしてきた。

「ADSTEFAN Ver.2014」のシミュレーション画面

鋳造欠陥がより少なくなる真空ダイカストにおける減圧状態を解析するためには、気液二相流解析を行う必要があったが、この解析では、気液界面がさまざまに変形するため、計算が複雑になりコンピュータへの負荷が大きくなるという問題があったという。最新版では、流体計算を改良したことで、従来よりも簡単かつ高速に解析できるという。

また、湯流れ解析に溶湯の流れのみを扱う単相流ベースの解析手法を新たに採用したことで、従来の気液二相流解析と同等以上の性能を維持しながらも速度向上が望めるほか、真空ダイカスト鋳造法向けの境界条件設定機能追加したことで、金型合わせ面からの空気流入による圧力一定化が再現可能となり、シミュレーション精度が向上するとしている。

さらに、金型内にパイプ状の空間(水冷管)を設けて水を流すことで、金型と製品の冷却時間の詳細なコントロールが可能となったほか、この冷却をより忠実に再現するため、冷却水の流量を考慮する機能を追加し、金型温度変化の予測精度が向上したという。

そのほか、解析結果同士の四則演算、編集、CSV形式ファイル出力機能を実装したほか、モデル/解析条件/解析結果などの自動一括出力が可能となった。また、STLファイルの設定画面にモジュラス(鋳物の体積と冷却表面積との比)の表示を追加したという。

なお、同社は今回の日本語版に続いて英語版、中国語版を順次販売するとしている。