Appleが取り組んでいるiPhoneやモバイルサービス、これらから作り出される我々の未来の生活について、深読み、先読みをしながら考えていこうという連載だ。

ご存じの通り、Appleは秘密主義を貫いており、新製品や新しいソフトウエアなどのサービスを発表するタイミングは限られている。またちょっとした製品の性能向上は突如オンラインで発表される。しかしAppleが取り組んでいる特許や企業買収といった様々な情報や、Appleを取り巻く環境などを読み解きながら、これからのAppleやモバイル市場を考えていこうと思う。

ただし、予想をしても、あまり当たらないことと、そうした予想を織り込んで全く新しい要素を加えてくるのがAppleという会社だ。そうした前提で、米国やアジアのブログニュースで流れる情報も紹介しつつ、お楽しみ頂ければ幸いだ。

初回のテーマは、iPhoneが2014年、どんな進化を遂げるか、ということだ。

2013年にはゴールドモデルも登場。2014年にiPhoneはどのような進化を遂げるのか、写真はiPhone 5s

スペックはもちろんだが、Appleにとってスマートフォンがどんな位置づけで、どんな方向性へと発展させようと考えているのか。その姿は、ポケットに入って、自分の周りのデジタルを司るメインコンピュータ、それがiPhoneの近い将来像になるのではないだろうか。

1つの思想として、改めて「デジタルハブ」構想を引用してみよう。

デジタルハブ構想と、これを実現させなかったApple

デジタルハブとは、2001年にスティーブ・ジョブズ氏が掲げたMacを中心としたデジタル機器を連携させる構想だ。2001年初頭に発表したこのプランを伏線にして、Mac向けiTunesと連携できるデジタルミュージックプレイヤー「iPod」をリリースした。パソコンでコンテンツを管理し、より小型でバッテリーが長持ちするデバイスで楽しむ、というスタイルを確立した。

iPodが、iPhoneやiPadの礎となったことは言うまでもない。しかしAppleが「Macをハブにする」というアイディアを貫いたかといわれれば、そうではなかった。

iPodをより多く売るために、それまでMac専用だったiPodをWindowsに対応させた。またiPhone・iPadはもとからWindowsユーザーにも開放されており、現在ではMacやWindows PCがなくてもiPhoneのアクティベーションやコンテンツの購入・追加が可能になっている。

Appleは当初のデジタルハブ構想というコンセプトの瓦解を、市場の変化に合わせて自ら促進させていたが、その結果スマートフォンやタブレットの市場を牽引する役割を獲得したことを考えれば、正解の道を発見したと見て良いだろう。