カネカは12月25日、還元型コエンザイムQ10(還元型CoQ10)の摂取によって生じる老化遅延および加齢性難聴の進行抑制効果における作用メカニズムを解明したことを発表した。

同成果は、同社ならびに信州大学大学院医学系研究科疾患予防医科学系加齢生物学講座の樋口京一 教授らによるもの。詳細はレドックスバイオロジー分野の国際学術雑誌「Antioxidants & Redox Signaling」に掲載された。

研究グループは、これまでの研究から、還元型CoQ10 を老化促進モデルマウス(SAMP1)に、幼若期から継続摂取させると老化が遅延すること、ならびに幼若、成熟、高齢期(1、7、13月齢)のそれぞれの時期からSAMP1マウスに還元型CoQ10を混合した飼料を摂取させると、マウスの聴力が、還元型CoQ10非摂取マウスは全例が7月齢時に高音域障害を、13月齢時に中低音域障害を発現し、19月齢時にはほぼ完全に聴力を失ったのに対し、還元型CoQ10摂取マウスでは、いずれの時期からの摂取においてもその障害が低減されることを報告していた。

今回はこうした効果のメカニズム解明を目指したもの。詳細な調査の結果、SAMP1マウスにおいて加齢に伴い長寿遺伝子と言われるサーチュイン遺伝子(Sirt1、Sirt3)の発現が低下し、ミトコンドリア量の減少およびその機能の活性低下がみられたのに対して、還元型CoQ10の摂取がそれらを抑制することが判明したという。

これまでの研究から、Sirt3がマウスの加齢性難聴発症抑制の機構に必須であることや、ミトコンドリア機能の低下が老化や生活習慣病に繋がることが示唆されており、今回の結果と合わせることで、還元型CoQ10がサーチュイン遺伝子の発現を介してミトコンドリアの量を増やすとともにその機能を活性化することで、老化遅延および加齢性難聴の進行抑制効果を示していることが示唆されたこととなったとする。

また、適度な運動やカロリー制限がサーチュイン遺伝子の発現を高め、老化や生活習慣病の進行を抑制することも知られていることから、還元型CoQ10でも同様のメカニズムで老化や生活習慣病の進行を抑制する可能性が示唆されたとしている。

還元型CoQ10の効果メカニズムの推定イメージ(イメージ図は論文掲載の一部をカネカが改変したもの)