中学や高校で学んだ日本史や世界史。イギリスの大英博物館でロゼッタ・ストーンを見て、ナポレオンのエジプト遠征を思い出し、「おお!これがウワサの……」と色めきたった経験がある人もいるのでは。外国人は日本の歴史をどのように習い、どのように感じるのでしょうか。日本の歴史で興味深いものや出来事は何か、日本に住む20人の外国人に聞いてみました。

■先史時代の人類の生活。日本人はどんな生活をしていたかを知りたいから(台湾/40代前半/男性)

まだ「日本人」という意識も区分もなかった時代。現在島国となっている台湾も日本も、かつては大陸と地続きになっていたといいますから、お互いに似たような生活様式だったかもしれません。

■道元、曹洞宗に興味があったから(チェコ/30代後半/女性)

映画などでも“日本人”の表現方法として座禅を組んだりしますから、「禅」は世界に広く知られています。その宗派のひとつ曹洞宗を開祖したのが道元。中国に渡って印可を受け、帰国後に禅宗の教えを日本に広めたお人です。

■忍者。今の世界と違って情報を盗むのが耳で聞くしかできなかった昔に、情報を盗むために活躍していた話が面白い(イラン/20代前半/女性)

忍者もまた、世界的に知られる日本のイメージ。歴史は意外と古く、12世紀ごろには既に歴史に登場しています。「忍術を操るスパイ」という現在広く知られている忍者像はフィクションですが、手裏剣やマキビシなど実際に使われていた忍具は、映画『ミッション・インポッシブル』に登場する様々な秘密道具をほうふつさせますね。

■隠れキリシタン。日本的なキリスト教は面白いです(ギリシャ/30代前半/男性)

■出島の歴史(日本と母国(オランダ)との関係が深いので)と、鎖国していた時代。戦国時代にも興味があります(オランダ/30代前半/男性)

近代ではアルバニアが50年ほど鎖国を行っていたことで知られていますが、その元祖(?)といえば、やっぱり200年以上も鎖国をしていた日本。実は中国やオランダとは交流があったので完全に閉ざされていたわけではないものの、ペリーが来航し開国するまでの間には様々な出来事がありました。

■江戸末期、明治維新。良い意味でも悪い意味でも日本がこの時期にガラリと変わったため(ドイツ/30代後半/男性)

■坂本龍馬の努力。世界観が結構広かったようだから(トルコ/20代後半/男性)

■侍の生き方。男らしいと思うから(チュニジア/40代後半/男性)

開国後、急激に文明開化が進んだ日本。日本人にもファンの多い坂本竜馬の活躍は、外国人にも覚えめでたいようです。竜馬もそうであった武士やサムライの美学は、確かに男らしくてかっこいいですよね。

■盧溝橋事件は中国国民革命軍側から「銃のような音が聞こえた」ことで起こりました。その「音」がなかったら、日本は第二次世界大戦に参加しなかった可能性があります。しかし、今でもあの「音」が何だったか誰にも分からない。中国軍からでもなくて、もちろん日本兵士も何も打っていなかったのが明らかです。なら、戦争のきっかけとも言われている「音」は誰がたてたものなのか? 今でも謎のままです(ブラジル/30代後半/男性)

複雑な背景と様々な見解が絡み合い、謎が謎を生む近代史。中国側と日本側でも認識が異なっていますが、遠く離れた南米の人にとっても興味深いもののようです。

■日本国を作り上げてきた先祖たちのことです。敗戦から早く立ち直って、先進国になれたからです(インドネシア/40代前半/女性)

■敗戦です。日本が敗戦しなければ、今はこんなに発達していないかもしれないと思うからです(シリア/30代前半/男性)

■現代日本を作った明治維新や戦後の復建も非常に興味深いです(ロシア/20代後半/女性)

■第二次世界戦争後の高度経済成長、感動的です(ペルー/40代前半/女性)

敗戦後の復興の速さは、もはや「感動的」とまで言われています。そういえば、東日本大震災の際に寸断された道路がすぐに補修されたニュースも、日本の神業として世界を駆け巡りましたね。復興の速さが日本のお家芸……となればいいのですが。

■日本が一度も植民されてないこと。島だと攻められるのは難しい(マリ/30代前半/男性)

■日本の天皇陛下が興味深いです。神秘に感じます(中国/20代後半/女性)

小さな島国なのに他国による植民地支配をされたことがない、と書くと本当に何だかすごいことのように聞こえます。また、数千年にわたり世襲が途絶えたことがない天皇家も、外国人から見ると驚くべき存在なのかもしれません。

学校で習っただけで、あまり議論したり考えたりすることがなかった日本の歴史。外国人でもとても詳しい方がいらして脱帽です。もう一度いろいろ勉強し直してみるのも面白そうですね。