Googleは11月29日、Google音声検索をバージョンアップし、話し言葉を理解して音声応答が可能になったと発表した。人間と会話するような自然な検索ができるようになることで、Googleの「ユーザーが本当に知りたいことを理解して、ユーザーがほしい情報を的確に返す」というビジョンに、また一歩近付く。

音声検索は例を挙げると分かりやすい。例えば、「田中将大の年齢を教えて?」とGoogle検索アプリ起動時に問いかけると「田中将大の年齢は25歳です」と音声で返答してもらえる。

ほかにも、「ランドマークタワーに電車で行きたい」といった場所の問いかけでもルートを表示してくれたりと、検索だけではない"ユーザーがしたいことの一歩先"を提示してくれる機能へと進化している。

Google音声検索

やや崩した話し方でも認識してくれる

この機能はAndroid端末でOSバージョンが4.1以上、iOS端末ではバージョンが6.0以上で利用できる。また、PCでもChromeブラウザをインストールしていれば利用することができる。

また、Google検索アプリは利用者が必要とする情報を前もって提示する「Google Now」機能も提供している。Google Nowは様々な改良と機能追加が行われており、例えば、予約した飛行機の搭乗案内がGmailに送付されていた場合はGoogle検索アプリを起動すると、Gmailを開くことなく表示してくれる。

ほかにもスケジュール登録していた予定を、予定時刻の前に通知してくれたりと自分だけのコンシェルジュのような役割を果たしてくれる。Google Nowは今後も随時、機能追加や改良が行われるという。

Google Now

ラリー・ペイジのビジョンに一歩近付く新機能

発表に合わせて渋谷ヒカリエで記者発表会が開かれ、グーグルで製品開発本部長を務める徳生 健太郎氏がGoogle音声検索とGoogle Nowのアップデート内容について説明を行った。

徳生氏は初めに、「検索という行動に対して、Googleは検索結果の関連性を高めるといったことを進めてきた。その一つが昨年発表した"ナレッジグラフ"で、ユーザーが関心を持つことに関連した情報を提供してきた」とGoogleの取り組みを説明。

グーグル 製品開発本部長 徳生 健太郎氏

シンプルなGoogle検索も関連情報を表示してくれる"ナレッジグラフ"により多くの情報をGoogle内で得ることができるようになった

その上で、Google創業者、ラリー・ペイジ氏の言葉を例に出す。「ラリー・ペイジの『ユーザーが本当に知りたいことを理解して、ユーザーがほしい情報を的確に返すものだ』という言葉があるように、検索製品の裏には明確なビジョンがある」(徳生氏)

ラリー・ペイジ氏のビジョン

もちろん、ユーザーが知りたいことを理解して、より正確に返すということは「結構難しいこと」と徳生氏。ただ、今回の新機能である音声検索は「このビジョンに一歩近付ける試みだ」と胸を張る。

もちろん、Googleとしてはビジョンのためだけに音声検索を導入したのではなく、実用面でも使える小技も効く。「文字入力できないものでも役に立つ。例えば"GReeeeN"って"e"が何個だっけ?のようにね」(徳生氏)。

Google Nowについても様々な機能追加を行っていることに触れ、「朝起きたら天気予報や電車の遅延情報を教えてくれるし、会社に到着したらスケジュールを先読みして訪問先への交通情報を教えてくれる。出先だと終電時間がわからないことが多いけど、それも検索する前に教えてくれる」と常に先回りしてGoogleが全てを用意してくれる利便性をアピール。これらの細かい気配り機能を含めた新機能と改善は今年だけで650以上を数えるという。

発表会で行われた質疑応答では、「音声検索に対する返答はどのようなアルゴリズムで行われているのか」「音声検索の競合に対する優位性は?」との質問が徳生氏に投げかけられた。

「Google検索の根本には先ほども触れたラリーの思想がある。基本的にはWeb検索が基盤。そのお陰で幅広い検索ができるし、そこにはナレッジグラフもある。例えば『ピカソの生まれは?』という疑問に対して、Googleはピカソが"アーティスト"や"人間"であるという情報を理解して体系づけている。このような取り組みがより良い結果として返すことができる元になっている」(徳生氏)

最後に、ラリー・ペイジ氏のビジョンに繋がる具体的な"完璧な検索"について問われた徳生氏は「三本柱が基本になるだろう。『Answer』『Conversation』『Anticipation』。Answerはユーザーが検索をすることなく"答え"を出す。Conversationは人間と話すように"会話"できるようにする。Anticipationはユーザーが求める者を先回りするように"予測"するということだ」と回答した。

様々なシチュエーションに合わせた音声検索とGoogle Nowの利用方法をデモンストレーションしていた

Androidだけではなく、PCやiPhoneでも利用できる

あらゆる自然語を認識できるという

音声検索とGoogle NowのTV CMも合わせて公開

会場では、音声検索アイコンを模したケーキやマカロンが用意されていた。メガホンマイクを利用して大型スクリーンで音声検索を行う仕掛けも