「情報システム部門の役割は、各部門で行われている作業の効率化や、既存システムの保守を行うこと」 そう考えている人も多いだろう。もちろん円滑で安定した企業活動を行えるよう、「守り」を固めるのも重要な役割だ。しかし本セミナーで採り上げられた事例が語るように、各部門の動きや、個別に蓄えられている情報を適切に共有・利用し企業全体の活性化を目指そうとするなら、情シスはそのリーダー的存在となり得る。

ユーザーをも巻き込んだ情報共有で、業績が向上

サイボウズ株式会社 社長室
フェロー 野水 克也 氏

野水氏が最初に採り上げたのは、障害のある子供達のためのリハビリ施設の事例だ。 施設ではまず、サイボウズが提供するクラウドに、データベースを設置した。そして預かった子供ごとに、担当の医師や介護士が、「今日はこんなリハビリをした」「水分はこれだけ与えた」といった情報や、子供達の頑張りが分かる画像、それに対するスタッフのコメントなどを入力していった。

更に、子供達の家族もインターネットでこのデータにアクセスできるようにした。これで施設に付き添ってきた母親だけでなく、仕事中の父親や遠方の親類も、空いた時間にアクセスするだけで、子供の成長を見守ることができるようになった。保護者がコメントや相談事を書き込み、施設側とやりとりすることも可能だ。 システムはクラウド上で管理されているため、情シスのスタッフが不在でも24時間365日稼働している。そのため、仕事が忙しく施設に長くいられない両親にもコミュニケーションツールとして喜ばれているという。また普段は離れて暮らしている祖母が、孫のためにリハビリ用ベッドを購入するきっかけとなるなど、利益を上げるのにも役立っている。

わずか2週間で構築したシステムが、経営効果を上げた

2つめに紹介されたのは、社員数50名ほどの建築会社の事例。 同時に数多くの現場を手がけているこの会社では、日々発生する原価の管理に苦労していた。それぞれの現場でExcelに入力された日報データを、本社が一括してメールで受け取り、コピー&ペーストで原価管理システムに移し替えるという方法を採っていたが、日報の遅れによる作業の滞りや、移し替え作業のミスなどが多発していたのだ。

そこでこの会社では、日報入力用のフォームと、クラウド上の原価管理システムとをAPIで結びつけ、新しいシステムを構築した。これなら日報は入力と同時に原価管理システムに送られ、処理はすぐに完了。作業効率が上がっただけでなく、リアルタイムに原価を把握することもできるようになった。 「最新のコストを見ながら、迅速に改善策を練ることができるようになったので、経営的には大きな進歩と言えます。なお、このシステムの構築期間は約2週間。これがクラウドの楽なところ、クラウドのパワーだと思います」(野水氏)

海外でのユニークで、先進的な活用事例

3つめの事例は、バイオ燃料を開発し、工場に販売している海外のベンチャー企業。 バイオ燃料を生み出す藻の研究実験データをクラウド上に置いて、リアルタイムに動くデータを研究者や投資家に公開し、研究者からはより効率的な燃料生成のためのアドバイスを、投資家からは資金を募るのに役立てている。

またサンフランシスコの小児科では、幼い患者が医師の指示通り、医療機器をつけているかどうかを調べるためにクラウドサービスが活用されている。患者のスマートフォンで定期的に日常の様子を撮影し、画像を解析ソフトにかけて医療機器をしているかどうかを判定、データとして保存する。医師は診察時に端末でそのデータを見て、患者の治療に対する姿勢を確かめるのだ。 診療では患者やその家族とデータに基づいたコミュニケーションが取れ、正しい診断にもつながるため、システムへの評価は高いという。

クラウドの活用で、情報の流れを変える

ここまでの事例から見えてくるとおり、「攻める」システムづくりで重要なポイントは、 「情報(データベース)の共有と、共有した情報にまつわるコミュニケーション、この2つを同時にできるようにすること。普段会社でしている会話(コミュニケーション)の多くが、見積もりや顧客情報など、データに紐づいたものです。システムもこれに準じて、両方を同時に扱えるようにすることで、仕事の効率も生産性も上がります」(野水氏)

サイボウズが奨めるデータベースとコミュニケーションの関係

クラウドは、こうしたポイントをクリアできるだけでなく、「攻める」情シスにとってはメリットが多い。例えば、24時間365日のサポート体制が整ったクラウドシステムは、情報システム部門を管理業務から解放してくれる。つまり浮いた時間を、新たな企画に投資できるようになるのだ。 さらに、導入のイニシャルコストも、開発期間も少なくてすむ。 「これまで難しかったことでも、クラウドによって手軽に取り組める機会が広がって来ています。クラウドで情報の流れを変える、つまり加速する、共有化を進める、ワークフローを改善する、といったことで経営効果を生む。それが『攻める』情シスの仕事です」(野水氏)

今回紹介されたすべての事例で、大きな成果を上げるのに活用されたクラウドサービスは、サイボウズの「kintone」。様々な業務シーンを想定したアプリ(コンポーネント)が豊富に用意されており、データベース作成も、ワークフローの改善も簡単に行える。データを見ながら容易にコミュニケーションができるように、スレッドを立てることもできる。構築作業は殆どが、画面に表示されるフォームに従って、入力・選択を行っていくだけなので、短期間に終えられるというのも、「kintone」の大きな特長だ。 無料のトライアル版も用意されているので、「攻める」情シスを目指すなら、一度チェックしてみてはいかがだろうか。

「kintone」の詳細や問い合わせは、以下から

kintone -今日から始める業務改善クラウド
https://kintone.cybozu.com/