ニチモウバイオティックスは11月11日、雄性マウスに、同社が開発した抗酸化力の高いアグリコン型イソフラボン(発酵大豆胚芽抽出物)「AglyMax」(画像)を0.6%含有させた高脂肪食を12週間にわたって与え、「経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)」を実施した結果、AglyMaxによるインスリン感受性の改善効果が確認されたと発表した。

AglyMax

成果は、ニチモウおよびハーバード大学医学部所属の潘偉軍 医学博士らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、11月9日・10日に開催された「第20回日本未病システム学会」にて発表された

2型糖尿病は、運動不足・肥満・過食・ストレスなどの環境因子が起因して、インスリン分泌低下やインスリン感受性低下などによって発症する現代病であり、厚生労働省の「2011年国民健康・栄養調査報告」によると、日本人の推定糖尿病患者数と糖尿病の可能性を否定できない人は2000万人以上、すでに国民の4人に1人以上となっている。

大豆イソフラボンについては脂肪細胞の分解促進や血中脂質代謝改善など報告されているが、インスリン感受性低下への改善については、まだだ十分な研究がなされていない。そこで潘博士らは同社が販売しているAglyMaxを用いて、OGTTでインスリン感受性の改善効果について、動物試験での検討が行われたのである。

動物試験では6週齢の雄性C57BL/6マウスが用いられ、対照群、AglyMax群とPair-fed(ペアフィード:同時飼育)対照群の3群(n=8)に分け、対照群には高脂肪食(脂質エネルギー比60%)、AglyMax群には0.6%のAglyMax含んだ高脂肪食、Pair-fed対照群にはAglyMax群と同量の高脂肪食が与えられて試験が進められた。

試験期間は12週間で、毎日体重と摂餌量が測定され、試験終了際にOGTTを実施。2時間にわたり経時的に採血が行われ、血糖値および血漿中インスリン濃度が測定された。また試験終了後、腎周囲・後腹膜の脂肪組織重量と脂肪細胞のサイズが測定されている。

この試験の結果、対照群と比較してAglyMax群の摂餌量は7.6%減じたが、体重増加は32.8%抑制(p<0.001)したことが確認された。体重増加抑制と並行して腎周囲・後腹膜の脂肪組織重量も10.8%減じたほか、「白色脂肪組織(WAT)」サイズも小さくなっていることが確かめられている。さらにAglyMax群では、Pair-fed対照群に比べ11.0%の体重増加抑制があったが、この体重の変化はWATの減少に関係していた。すなわち、Pair-fed対照群に比べAglyMax群ではWATの減少が12.0%(p=0.09)であった。

OGTTでは、対照群と比べAglyMax群の90分の血糖値と0、15、30分の血漿中インスリン濃度は有意的に減少した(p<0.05)。また、Pair-fed対照群に比べ、30分の血漿中インスリン濃度も有意的に減少していることが確かめられている(p<0.05)。

以上の結果により、AglyMaxによるインスリン感受性の改善は、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)で、血漿中インスリン濃度の有意的な減少が認められ、また、体重増加も有意的に抑制されたことにより、糖尿病や肥満などの予防に有効と示唆された。今後は、その作用メカニズムの解明が必要だとしている。