新タイプの“スマホ顕微鏡”。試料のハエの足を観察しているところ
(「サイエンスアゴラ2013のしおり」から)

“スマホ顕微鏡”の原理(提供:永山國昭)

多機能携帯電話(スマートフォン、スマホ)のカメラの上にカバーグラスを載せるだけで試料を拡大表示する新タイプの“スマホ顕微鏡”を、生理学研究所の永山國昭特任教授(英国王立研究所 金曜講話演者)が発明した。9日から東京・お台場の日本科学未来館を主会場に開かれる科学展示交流イベント「サイエンス・アゴラ2013」で実演、披露する。

スマホを顕微鏡として利用するために、外向け(アウト)カメラのレンズに専用器具を取り付けるタイプがあり、そのさまざまな専用器具などが市販されているが、永山さんが考案したスマホ顕微鏡は、自分の顔などを撮影するときの内向き(イン)カメラを利用するのが特徴だ。カバーグラスにある球状の“ボールレンズ”がカメラレンズの上に来るように重ね、その上に試料を置いて写すと、カメラがピントを自動調整して、拡大画像を液晶画面に表示してくれる仕組みだ。

実は、このボールレンズを使った顕微鏡の原型は、350年前にオランダの商人、レーウェンフック(1632‐1723年)が世界で最初に発明した。ところが、その後「ロバート・フック」の顕微鏡に使いやすさなどの面から取って変わられ、消えてしまった。永山さんは「絶滅した顕微鏡が、スマホという世界最先端の科学技術に出会い、復活したのだ」という。

サイエンス・アゴラ2013では、2日目の10日午後1時から日本科学未来館7階「みらいCANホール」で開かれるシンポジウム「科学技術のあたらしい伝えかた」に演者の1人として登場する。そこでは「スマホ顕微鏡がひらくミクロ世界」との題で、実際に新タイプのスマホ顕微鏡で撮影したミドリムシの姿やハエの足、植物の茎の断面などをスクリーンに映し出す。また、目盛板の画像との重ね合わせで、試料の大きさを計測する方法なども紹介する。

なお同シンポジウムのファシリテーターは佐倉統氏(東京大学大学院 教授)、他の演者と演題は▽福地健太郎氏(ニコニコ学会β、明治大学 准教授)「研究100連発」▽斉田智明氏(ブリティッシュ・カウンシル プロジェクトマネージャー)「英国クリスマス・レクチャーにみるサイエンス・コミュニケーション-主催者からみた問題点と解決法」▽Patrick Newell氏(TEDxTokyo co-founder)「How to make 1+1=11」の講演もある。参加の事前登録不要だが、定員は250人。シンポの模様は「ニコニコ生放送」でライブ配信される。

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