10月26日から11月4日まで、東京・神宮外苑で開催された「東京デザイナーズウィーク(TDW) 2013」。「CREATIVE Fes」がテーマとなった今回、4日間でのべ約25万人が来場。企業ブースでは各社趣向を凝らし、最新テクノロジーやクリエイティブなアイデアなど、さまざまなアプローチから自社製品の提案を行った。

とりわけ異彩を放っていたのが自動車ブランド・レクサスのブースだ。「LEXUS DESIGN AMAZING 2013 TOKYO」と題された一連の展示の中、その中心となる『amazing flow』という作品には、なんと商品である"クルマ"がいっさい登場しない。世界的建築家の伊東豊雄氏監修の下、若手建築家の平田晃久氏がつくりあげた鉄骨のフレームに木材をつなぎ合わせた、空中を走り抜ける道路のようなインスタレーションが鎮座していた。

「東京デザイナーズウィーク 2013」レクサスのブース

来場者に大きな驚きをもって迎え入れられた、今回の"建築インスタレーション"展示。この強気ともいえる企画実現に至る経緯や意図について、レクサスブランドマネジメント部の河辺徹也氏にお話をうかがった。

――今年4月にイタリアで開催されたミラノサローネ(ミラノ国際家具見本市)にレクサスは4年ぶりに出展し、『amazing flow』を発表して好評を得ました。建築家・平田晃久氏にはどのようなレクサスのビジョンを託したのでしょうか?

河辺氏 レクサスは、「お客様の期待を超える驚きと感動を提供し続ける」というビジョンを"AMAZING IN MOTION"というスローガンに込めています。それを、新進気鋭の建築家である平田さんに投げかけ、表現していただいたのが『amazing flow』です。イタリアで製作されたこの作品は、330平米・高さ5.5メートルにもなる壮大なものとなり、今回その一部を東京で初披露することになりました。従来のラグジュアリーには"贅沢"というイメージが強かったと思います。しかし、レクサスは今、新しいラグジュアリーというものを"本質"というイメージでとらえ、ライフスタイルとして提案しようとしています。平田さん自身にも"本質"を追求していただいた結果、このインスタレーションでは自然や人間に関わる"流れ"に着目が集まる結果となりました。

――会期中は、サテライト会場となる南青山の「INTERSECT BY LEXUS TOKYO」において、今年4月のミラノサローネで展示された(昨年公募)、次世代を担うクリエイターの育成を目的としたインターナショナルアワードである「レクサス デザイン アワード」の第1回入賞作品も展示しました。

河辺氏 「レクサス デザイン アワード」は若手クリエイターが国際舞台へチャレンジするための開かれたプラットフォームだと認識しています。レクサスは、「優れたデザインを通じてライフスタイルをより豊かに変えていきたい」という想いを持っています。次世代のクリエイティブを育成しながら、彼らとともにそれを実現していきたいですね。

レクサスのブースに展示された『amazing flow』

デザインのイベントが「CREATIVE Fes」と銘打たれるように、クリエイティブのジャンル領域はボーダレス化している。未来のクルマも、今後は自然やアート、思いもよらないものと融合しながら、新たな局面を見せてくるかもしれない。