米Intelの日本法人であるインテルは10月28日、10月10日より同社の代表取締役社長に就任した江田麻季子氏および、前社長の吉田和正氏の記者会見を開催した。

江田氏は2000年9月にインテル入社。直近では、インテル セミコンダクター(アジア・パシフィック地域統括)でマーケティング&コンシューマー・セールス担当ディレクターを3年間務めていた。同氏は日本法人の社長と、米Intelのセールス&マーケティング統括本部副社長も兼任する。

2013年10月10日よりインテルの代表取締役社長に就任した江田麻季子氏(右)と前社長の吉田和正氏

冒頭、前社長の吉田氏は社長退任の理由について、「われわれのミッションは、常に高い付加価値を提供していくこと。3~4年前からアジア市場の成長は著しく、アジア諸国は日本を意識している。われわれとしてもアジア市場には注力しており、転換期が来ると考えていた」と説明。「(インテルが)さらに成長していくためには、新しいリーダーの元で、高い付加価値を提供していく必要がある。アジアを理解しておかないと、われわれは成長できない。そのような状況で、アジア市場を熟知した江田氏の社長就任は、ベストなタイミングだった」と語った。

また同氏は、江田社長の新体制を「インテルジャパン2.0」と表現。「すでに日本市場はマチュア(成熟している)と言われている。しかし日本の技術力は高く、ビジネス・チャンスはある。新体制の下、日本企業のさらなるイノベーションのサポートと、課題解決のお手伝いをしてほしい」と語った。

新社長に就任した江田氏も、日本企業へのサポート体制の充実を強調する。

「3年間、アジア・パシフィック地域でマーケティングを担当し、日本の産業技術の強さを実感した。日本の技術は(アジア新興国の)いたるところでその国の産業を支えている。日本ではその経験を活かし、日本とアジアとの架け橋となって活動していきたい」(江田氏)

江田氏のリポートラインは、アジア・パシフィック地域統括副社長で、以前と同様だ。これを同氏は、「会社にとってプラスになる」と説明する。アジア市場において日本は中国の次に大きな市場であり、その立場を活かして「直接米国本社に影響を与えることができる」(江田氏)からだという。

また、日本の社員がアジアでも活躍できるような体制にし、積極的にグローバル人材を育成する姿勢も明らかにした。なお江田氏は、「インテルで女性初の社長」と注目されがちだが、「グローバルで見れば、女性のカントリーマネージャは少なくない。自分は特異な存在ではない」とのことだ。

質疑応答では、モビリティと組み込み向けCPUについて、その戦略が問われた。

江田氏は、「モバイルデバイスは多様化しており、『Atom』プロセッサを積極的に投入していく。また、組み込み向けCPUについては、先のIDF(Intel Developer Forum)で発表した、Atomよりさらに低消費電力『Quark』も投入する。日本には高い技術力があり、(組み込み向けCPUの)可能性もある。今後とも積極的にビジネスを開拓していきたい」と語った。