「Change!」と聞くと、この言葉をスローガンに大統領選で成功を収めた米国大統領のBarack Obama氏が浮かぶが、組織を変えるということはそう簡単なものではない。自分自身を変えることを想像するとわかりやすいだろう。「ダイエット中なのに甘いものに手が伸びる」「朝のジョギングが3日坊主で終わってしまう」など、習慣を変えることはそれほどたやすくないのだ。

Incの記事「人の行動を変える4つの法則(原題:4 Laws of Changing People's Behavior)」でも「変えることは難しい」と前置きをしている。自分ですら行いを変えることは難しいのに、他人である社員に理解を求め、新しいやり方を身につけてもらうことは更なる苦難が待ち受けていると考えた方が良い。それでも自分たちのチームを変えたいのであれば、記事がオススメする4つの方法を試してはいかがだろうか?

高いリターンにフォーカスし、小さなグループで始める

記事が紹介するのはGeneral Motors(GM)で実際に行われたものだ。GMでは、営業と販売店の関係性が課題となっており、業績を伸ばす足かせとなっていた。GMの営業スタッフは命令的な態度をとることから、販売店に嫌われていたのだ。

そこで、方針として「営業スタッフを販売店の良きアドバイザーにする」ことを掲げた。具体的に行った改革は「問題を識別して、改善テーマを掲げる」ーーここまではそれほど珍しいことではない。だが、ここから注意して読んでいただきたい。

営業スタッフは1500人いたが、担当者は初めに、各地区で高い業績を収めているスタッフを改善すべき対象から外した。続いて、改善策に抵抗するスタッフを外し、残る中間層にスポットライトを当てた。

ただ、ここで終わりではない。この担当者は改善策を実行することで大きく業績改善が見込める地区に注目した。「ここが変わると、大きなリターンが得られるのはどの地区、スタッフか」ーー担当者の答えは、販売規模が大きい都市部の営業スタッフ200人だった。

1500人よりも200人を変える方が簡単である。漠然と全員を対象に変化を呼びかけるよりも、まずは「変える」対象を絞り込む方が効果は上がりやすい。変わった人たちが他の人に影響を与えるという良い連鎖反応にも期待できることだろう。

変化への準備をしっかりと

次は、組織を変化させるための準備具合や態勢をしっかりと構築することだ。チームリーダーが「新しいビジョン」や「目標」について真摯に説明すれば、変化が必要だという共感をメンバーから得られることだろう。記事ではこのほかにも、「変化の過程で、間違ったときにメンバーを責めない」「メンバーに誠実であること」「アドバイスを求める行動も重要」「選択肢を与える」といった提案をしている。

ポイントは、「メンバーがチームの変化に自分も参加している」という意識を持ってもらうことだ。

最初は先導役となる"モデル"にフォーカス

組織の中で人望が厚い人や信用されている人を選び、変化に向けたイニシアティブのリーダーと位置づけよう。

この人たちが一種のモデルとなるよう、手本となる行動をとってもらう。行動が安定し、一貫性が出てきて結果も付いてくるようになると、周囲も自然と見習うようになるだろう。

モデルとなる人たちは変化を先導するだけでなく、リーダーとの接触ポイントになることで、変化に向けた過程がスムーズに進むだろう。

コーチング

最後は「コーチング」。記事では、変化を促すにあたって「実際に業績で、確実に結果が出る部分からコーチングをはじめる」「顧客は大きな影響を持つ。顧客満足度を上げるにはどうすれば良いか顧客に尋ねることで、関係が改善する」といった2つのアドバイスをしている。

日本でもコーチング専門家が増えているが、料金体系やコーチングの質はピンからキリまで様々だ。選択にあたっては、「成果をしっかりと約束してくれる」「契約期間が終わった後にコーチングができる人材を社内で育ててもらえるか」を念頭に考えると良いそうだ。