ヤマハは10月23日、同社の新しい音源LSI「NSX-1」の出荷を開始すると発表した。サンプル価格は2000円となる。

音源LSIの「NSX-1」

同製品は"歌って、奏でる、次世代音源"をコンセプトとし、一般的な音源LSIで採用されている「General MIDI」音源に加え、アコースティックサウンドの音源「Real Acoustic Sound」と、同社の歌声合成ソフト「VOCALOID」を組み込み用途に最適化した「eVocaloid」を搭載する。

同社の歌声合成ソフト「VOCALOID」を組み込み型に最適化した「eVocaloid」

「Real Acoustic Sound」は、アコースティック楽器の微妙な変化を再現する「AEM」に適応して音源を開発する。同社のフラグシップモデルのコンサートグランドピアノ「CFX」のほか、30種類以上のアコースティックサウンドを搭載している。

一方の「eVocaloid」は、歌声合成に必要なデータベース容量の削減や少ない処理で歌声合成する方式が採用されるなど、VOCALOIDの処理を組み込み用途に適した形に変更することで、低遅延で歌声を合成できる。また、「VOCALOID」の日本語女声ライブラリ「VY1」を基に開発した専用ライブラリ「eVY1」を使用することで、力強く伸びのあるロングトーンの歌声を実現するという。

そのほか、JavaScriptを利用してNSX-1を制御するためのライブラリをオープンソースで公開する。このライブラリは、WebブラウザからMIDI機器を制御するための「Web MIDI API」というオープンな規格を利用して動作するため、Webアプリケーションから、音を鳴らす、音を止める、使用する音色を選択するといった制御ができる。

同ライブラリはオープンソースで公開するため、外部の開発者やサプライヤでもNSX-1と連動したWebアプリケーションや製品などを開発できる。同ライブラリは、ソースコード共有Webサービス「GitHub」上の同社Webページにて11月上旬に公開する予定。

なお、今後はNSX-1を搭載した商品が各社から登場される予定だという。例えば学習研究社では、大人の科学シリーズに「eVocaloid」を利用することができる製品を来春に発売する予定だとしている。