先日、タレントの眞鍋かをりさんがテレビの某バラエティ番組の中で、過去に年齢を詐称していたことを告白した。事の発端は今から15年近く前、当時18歳だった彼女は横浜国立大学1年生でありながらグラビアアイドルとして芸能界デビューしたわけだが、なんでもその際に「18歳のグラビアアイドル」という響きの良いキャッチコピーを少しでも長く使用するために、たった10カ月だけ誕生日を後ろにずらしたのだとか。以降、彼女は30歳を超えるまで、その偽りのプロフィールを泣く泣く押し通し続け、2012年に所属事務所を移籍したことをきっかけに、ようやく正しいプロフィールに変更したという。

こういうことは、アイドル系の女性タレントにはよくある話だ。公式プロフィールの詐称とまではいかなくとも、誰でもひとつくらいはファンに隠し事があったりする。もっとも、それは多くの場合、実は彼氏がいるということであったり、実は昔は不良少女だったということであったり、よほどの妄信的なファンでもない限り、薄々わかりそうなことばかりであるため、僕は別に驚かない。芸能界とはそういう世界だ。

10代にして若奥様となったが、女性としてのストレスもたまる日々

しかし、以前ひょんなことから知り合ったRという女性アイドルの場合は、さすがに驚いた。Rは水着グラビアのイメージDVDをリリースしたり、CS放送のバラエティ番組に出演したり、まだまだ無名ではあるものの、未来のスターを夢見てアイドル活動に励む一方で、彼女もまたデビュー以来ファンに隠していることがあるという。

それは実は結婚しており、子供もいるということだ。

しかも、所属事務所もそれに関しては最初から了承済みで、担当マネージャー氏は「結婚生活と育児に支障のない程度に仕事をしよう」と言っているらしい。そんな事実をまったく知らず、Rと疑似恋愛をしているファンの男性たちは、事実を知ったらどう思うだろうか。

確かに、現在23歳のRは一般的に見ると、若くて美しい美女だ。夫との結婚生活はもとより、実は一児の母親であるという雰囲気を一切感じさせず、スレンダーなモデル体型と白い肌、艶やかな黒髪は、清純派女性をイメージさせる。

しかし、それは芸能界デビューしたことでイメージチェンジした結果であり、中学・高校時代はバリバリの不良少女だったという。特に高校時代はろくに学校も行かず、1歳年上の板金工の彼氏と恋愛していたらしい。そしてRは16歳で妊娠し、そのまま彼氏と結婚。失礼かもしれないが、実にありがちな王道パターンである。

かくして、10代にして若奥様となったRだが、その結婚生活は決して裕福ではなく、夫への愛も日に日に薄れていったという。さらに、女性としてのストレスもたまる日々。同級生の女の子たちはみんな青春を満喫しているのに、どうして自分だけ家事や育児に忙殺されなければならないのかという、これまた失礼ながら王道のストレスである。

「女の子扱いされるし、チヤホヤしてくれるし、グラビアって楽しいの」

そんな中、20歳のころに街でスカウトされ、Rは迷わず芸能界に飛び込んだ。

「久々に女の子扱いされたし、チヤホヤしてくれるし、グラビアって楽しいの」

それがグラビアアイドル稼業にはまった当初の理由だ。彼女は芸能界で表現したいことや伝えたいことがあるわけではなく、音楽も芝居も自信がないから嫌だという。あくまで家事と育児に支障がない程度に、アルバイト感覚でグラビア仕事をしたいらしい。

Rの場合、若くして家庭に入った現実を少しでも忘れることのできる時間が欲しかっただけなのだ。だから、グラビア仕事をすることでスタッフからお姫様扱いされ、「かわいいよ」「きれいだよ」などと言われることが楽しくて仕方ない。最初はそれだけだった。

嘘を通しながら、今以上のメジャーな活動は厳しい

ところが、そんなRも最近になって少し変わってきたのか、芸能界でもっと上を目指したくなったという。早いもので子供も小学生になり、育児も落ち着いてきた。だから、ここらで芸能活動に本腰を入れて、地上波テレビなどで活躍できるメジャーな女性タレントになりたい。夫もそんなRに理解を示し、応援してくれているらしい。

ただし、そのためにはどこかのタイミングで、実は結婚して子供がいるという事実をファンに告白しなければならない。さすがに、その嘘を通しながら、今以上のメジャーな活動は厳しいだろう。おそらく、すぐにばれるに決まっている。

目下の悩みは告白のタイミング、知名度も低いので告白してもいいのでは…

Rの目下の悩みは、その告白のタイミングである。現時点でそんなにファンがいるわけではなく、知名度も低いため、それを告白したところでほとんど話題にならないとは思うのだが、Rの中ではそれが大きな問題らしい。撮影会などを開催したときに集まってくれる十数人のファンでさえも、その気持ちを裏切ることが忍びないという。

僕としては、そもそも芸能界なんて辞めて、愛する夫と子供のために素敵な奥様として人生をまっとうしたほうが良いように思う。しかし、若くて結婚・出産を経験した女性にとっては、女性としての喜びを感じられる芸能界のような華やかな世界は一種の麻薬のようなもので、いったん味わうとなかなか抜けだせないのかもしれない。ましてや、Rのように容姿に恵まれた若奥様の場合は、そういう誘惑も多そうである。

<作者プロフィール>
山田隆道(やまだ たかみち)
小説家・エッセイスト。早稲田大学卒業。これまでの主な作品は「虎がにじんだ夕暮れ」「神童チェリー」「雑草女に敵なし!」「Simple Heart」など。中でも「雑草女に敵なし!」は漫画家・朝基まさしによってコミカライズもされた。また、作家活動以外では大のプロ野球ファン(特に阪神)としても知られており、「粘着! プロ野球むしかえしニュース」「阪神タイガース暗黒のダメ虎史」「野球バカは実はクレバー」などの野球関連本も執筆するほか、各種スポーツ番組のコメンテーターも務めている。

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