Xilinxと、MathWorksやNational Instruments(NI)を含むXilinxのエコシステムアライアンスメンバーは9月10日(現地時間)、All Programmable Abstractionsのイニシアティブを拡張したと発表した。

これにより、ソフトウェア、モデル、プラットフォーム、およびIPベースのデザイン環境を今後総合的にサポートする。これらの環境は、CやC++、SystemCといった高位グラフィカルまたはテキストベースのプログラム言語が利用でき、OpenCLにも間もなく対応する予定。また、これらの言語から最適化されたインプリメンテーションを自動的に実現する先進的オートメーションテクノロジを備えている。こうしたソフトウェア/システムレベルのアブストラクションは、ハードウェア中心のIPインテグレーションおよびCベースのデザインアブストラクションを補完するものであるとしている。Cベースのデザインアブストラクションでは、複雑なFPGAやSoCの開発を従来のRTLフローと比べて、最高15倍まで高速化できることが実証されている。

All Programmableデバイスによる高度に統合された複雑なデザインの開発を加速するため、Xilinxは、Vivado IP Integrator(IPI)を提供してきた。Vivado IPIは、顧客のIPはもちろん、XilinxのLogiCORE/SmartCORE IP、サードパーティのIP、XilinxのSystem Generatorを用いて構築した「MathWorks Simulink」デザイン、Vivado高位合成(HLS)によって、C/C++とSystem Cから合成されたIPのインテグレーションを加速する。

Vivado IPIは、ARM AXIインターコネクトやIPパッケージング用IP-XACTメタデータといった業界標準に基づいており、XilinxのAll Programmableソリューションに最適化されたデザインを検証しつつインテリジェントに組み合わせることが可能となっている。エンベデッドデザインでは、All Programmable SoC「Zynq-7000」をターゲットとすることによって、デュアルコアARMプロセッシングシステムとハイパフォーマンスFPGAファブリックをターゲットとするソフトウェアとハードウェアIPそれぞれの識別、再利用、統合がより迅速に行えるようになる。

また、現在のスマートシステム向けにハードウェアやソフトウェアの動作をモデリングする際、C/C++やSystemC、OpenCL、MathWorksの「MATLAB/Simulink」、NIのシステム開発ソフトウェア「NI LabVIEW」のようなアブストラクションが用いられている。Xilinxとアライアンスメンバーのエコシステムは、インプリメンテーションの詳細に煩わされることなくこれらのアルゴリズムから直接実装することを可能とする。

MathWorksは「R2013b」の発表により、「Zynq-7000」デバイス用の新たなガイド付きワークフローの提供を開始した。ソフトウェア開発者やハードウェアデザインエンジニアが、このガイド付きワークフローを利用すれば、「MATLAB/Simulink」によるアルゴリズムの開発とモデリングが可能になる他、ソフトウェアとハードウェアの間でデザインを分割したり、Xilinxのターゲットデザインプラットフォーム上でそうしたモデルのターゲッティング、インテグレーション、デバッグ、テストを自動的に行うことも可能となる。この新機能は、MathWorksの各種アプリケーション向けツールボックスライブラリーの広範なポートフォリオに加え、堅牢なエンベデッドソフト/ハードウェアコード生成テクノロジに基づいており、システムパフォーマンスの検証と最適化が可能なだけでなく、All Programmable SoCをより多くの開発者が活用できるようになる。

さらに、「NI LabVIEW」とNIの再構成可能なI/O(RIO)ハードウェアを用いて従来型のRTLデザインの複雑性を抽出することによって、オペレーティングシステムやドライバ、ミドルウェアを構築する時間を節約している。NIはプラットフォームをベースとしてエンベデッドデザインにアプローチする手法を開発し、すぐに使える再構成可能なハードウェアと、直感的なグラフィカルプログラミング手法を提供している。「NI LabVIEW 2013」では、NIのターゲット上のプロセッサやプログラマブルロジック向けに書かれたアプリケーションのコンパイル、デバッグ、実装を1回のクリックだけで行うことができる。この開発環境は、複数のXilinxのAll Programmableデバイスをサポートしている。NIは、60を超える実装可能なターゲットを有するプラットフォームである同社のRIOコンピューティングコアにXilinxのAll Programmable SoCとFPGAを採用している。