大衆演劇俳優・早乙女太一と歌舞伎俳優・市川月乃助が出演する舞台『元禄チャリンコ無頼衆 浪花阿呆鴉』が今月5日より大阪・新歌舞伎座で上演されている。

舞台『浪花阿呆鴉』で自転車による宙乗りを披露する早乙女太一

江戸時代、大阪に実在し、「雁金五人男」と呼ばれた5人の侠客の生き様をモチーフに、三代目 市川猿之助(現・二代目 猿翁)の「スーパー歌舞伎」を手がけた脚本家の横内謙介氏が、作・演出を担当した時代劇。早乙女が扮する雁金文七をリーダーに、ド派手な改造自転車“チャリンコ”で街を爆走する命知らずの若者たち「浪花阿呆鴉」の活躍を描く。

江戸の世にはなかった"チャリンコ"を登場させる奇想天外な設定もさることながら、劇画のヒーローのような派手やかな衣装をまとった早乙女らが、舞台や花道を自転車で縦横無尽に駆け抜ける演出は痛快そのもの。客席まで飛び出してきそうな全力疾走が、死をも恐れず、自らの信念に向かって痛々しいまでに突っ走る「浪花阿呆鴉」の心意気を感じさせる。

劇中には、華やかなダンスシーンや、時代劇の醍醐味である"殺陣"もふんだんに。大衆演劇仕込みの迫力と美しさを兼ね備えた早乙女の刀さばきはもちろん、「浪花阿呆鴉」のメンバーを演じる伸び盛りの若手キャスト、載寧龍二、法月康平、田中仁、小早川俊輔のエネルギッシュな熱演は必見。「浪花阿呆鴉」の運命を変えるキーパーソン・大坂町奉行役の月乃助も、ときにコミカルな演技で笑わせながら、終盤では緊張感溢れる演技で確かな存在感を見せつけ、衝撃的なラストへと観客を導く。

そしてクライマックスでは、早乙女が自転車による"宙乗り"を披露。本邦初という斬新な演出にチャレンジしている早乙女は「最初は汗も相当かきましたけど、今は楽しんでいます」と語り、「歴史ある新歌舞伎座でかなり暴れ回っているので、みなさんにも楽しんでもらいたい」と意気込んでいる。なお、「元禄チャリンコ無頼衆 浪花阿呆鴉」の上演は18日まで。