島津製作所は8月29日、半導体や液晶パネルなどの製造装置向けに、排気速度3000L/sクラスの磁気軸受形電源一体化ターボ分子ポンプ「TMP-X2905/X3405 シリーズ」を9月2日より発売すると発表した。

ターボ分子ポンプは、タービンを高速回転させ分子レベルで排気を行う真空ポンプで、清浄な高真空環境を必要とする半導体や液晶などの製造装置に活用されてきた。しかし、デバイスコストの低減を目指し、製造装置メーカーにも価格低減圧力がかかっており、ターボ分子ポンプにもその対応が求められていた。

通常、ターボ分子ポンプはポンプ本体と電源がケーブルで接続される構成だが、ポンプ本体と電源を一体化することで部品点数が削減でき、コストを低減することが可能な電源一体化ターボ分子ポンプへのニーズが高まっている。

同製品は、同社が従来から販売してきた不活性ガスを使用するスパッタリング装置などのライトプロセス向け一体化ターボ分子ポンプのノウハウを生かし、さらに厳しい環境である腐食性ガスを用いるエッチング装置などのハードプロセスでも対応可能としたもの。

設計の見直しなどにより、排気速度を維持したまま従来の電源一体化ターボ分子ポンプと比べて高さ寸法を約15%低減したほか、ハードプロセス対応の電源別置き型ターボ分子ポンプのポンプ本体と比べても、ほぼ同等サイズの電源一体化ターボ分子ポンプを実現したという。

また、ポンプ温度制御機能を備えているほか、モータ駆動出力を向上させることで、ガス流量の多いプロセスや、反応性生成物を伴うプロセスでも使用可能としたほか、同社のターボ分子ポンプの特長である、耐腐食コーティング、ダイナミックシールの採用により、ハードプロセスにおいても、ターボ分子ポンプへの浸食を防ぐことが可能となっており、高い信頼性を提供することが可能となっている。

さらに、新たに開発したパワーユニットや高効率モータの採用により、従来機種に比べて消費電力を最大15%削減(無負荷時)することに成功しているという。

なお、同社では今回の排気速度300L/sクラスに加え、4000L/sクラスまで製品ラインアップを順次拡大していく予定としており、それにより半導体・液晶パネル製造装置メーカーのニーズに対応していきたいとしている。

価格はTMP-X2905シリーズの価格は510万円(税別)で、TMP-X3405シリーズの価格が550万円(税別)。初年度、2シリーズ合計で500台の販売を目指すとしている。

TMP-X3405シリーズの外観