PFUの「ScanSnap SV600」は、原稿を上方から非接触ラインスキャンしてデジタル化するドキュメントスキャナだ。書籍を裁断しなくても読み取れるほか、A3対応、カメラ式ではない…といった特徴を持つ。さっそく見ていきたい。

非破壊式スキャナが登場

ドキュメントスキャナとタブレットによって、「紙のデジタル化」や「オフィスのペーパーレス化」が加速した。順序としては、タブレットが登場したことで、それまでも存在していたドキュメントスキャナに火が付いたともいえるだろう。

ADFを搭載したドキュメントスキャナは、高速なもので1分あたりだいたい25枚(両面で50面)という読み取り速度を実現し、ものの数分で本1冊をまるごとデジタル化してしまう。またタブレットの普及は、自分で本をスキャニングして、PDFなどに変換する「自炊」という行為を定着させた。

しかし手軽なようで、自炊はハードルが高い。大きな裁断機を置く場所を確保しなければならないし、本を切るという行為に精神的な抵抗を感じる人もいる。そこへ登場したのが、本を裁断せずにスキャンできる「ScanSnap SV600」(以下、SV600)だ。

ScanSnap SV600

■主な仕様 [読取方式] オーバーヘッド読取方式、片面読み取り [読取モード] カラー/グレー/白黒/自動(カラー、グレー、白黒の自動識別) [光学系/イメージセンサー] レンズ縮小光学系/カラーCCD×1 [光源] (白色LED+レンズ照明)×2 [光学解像度] 主走査:285dpi~218dpi、 副走査:283dpi~152dpi(同一紙面上で読み取り角度が異なるため、読み取り位置によって光学解像度に違いが生じる) [読取速度(A3横)] カラー/グレーとも約3秒/枚 [読取範囲] 最大:432mm×300mm、最小:25.4mm×25.4mm [原稿の厚さ] 30mm以下 [インタフェース] USB 2.0 [本体サイズ] W210×D156×H383mm、作業スペース:W525×D484×H383mm [重量] 3kg [直販価格(PFUダイレクト)] 59,800円

SV600は、これまでのように本体が原稿を取り込んでスキャンを行うのではなく、スタンド状になった本体のヘッドの部分から光を照射して、原稿を読み取る方式を採用している。最大A3サイズ、厚さ30mmまでの原稿を、切ったり折り曲げたりしなくても読み取れるのだ。

このようなタイプのスキャナは以前から存在していたが、基本的には原稿を上方から「デジタルカメラ」で撮影する仕組みだった。SV600はこれとは違い、ライン型CCDセンサーを撮像素子とし、指向性の高いLED光源と被写界深度が深いレンズを組み合わせた点が、これまでにない大きな特徴といえるだろう。

想定される利用シーンは、新聞や書籍、雑誌などを見開き単位でスキャンしたり、付箋などを貼り付けた原稿をそのままスキャンしたりといった状況だ。また大切に保管しておきたい書籍や、綴じられた契約書原本、クレヨンや絵の具など、表面に触れることで痛んでしまう原稿も、手軽にスキャンできる。ガジェットとしての興味もさることながら、ScanSnapの定評ある高画質で保存できるとなれば、がぜん期待も高まる。

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