IDC Japanは5日、国内企業向けIT市場(官公庁、教育、一般消費者を除いた国内IT市場)の2013年から2017年の地域別市場予測を発表した。

国内企業向けIT市場 地域別前年比成長率予測(2013年から2017年) 資料:IDC Japan

調査によると、2013年の国内企業向けIT市場は、国内経済回復の兆しが見えているが、2012年のハードウェアの更新需要などの反動から市場規模は10兆1,031億円で前年比0.3%とプラス成長を維持するが低成長率にとどまると予測している。

2013年は、政府による積極的な経済政策(アベノミクス)によって国内経済は回復の兆しが見えているが、大手製造業の生産拠点の海外移転、または撤退なども相次いでいることから、多くの地域で経済の回復が遅れており、多くの企業でIT支出は抑制傾向が継続している。また、2012年にハードウェア更新需要が拡大したため、その反動もあり2013年の国内企業向けIT市場は小幅のプラス成長を予測。

地域別では、北海道/東北地方、北陸/甲信越地方、東海地方で比較的高い成長率を予測。北海道/東北地方(前年比成長率:1.5%)では、大手企業の拠点の設置が増えていることからIT支出は堅調に拡大を予測。また、北陸/甲信越地方(同:1.4%)では、2015年春に延伸予定の北陸新幹線に伴った積極的な投資、東海地方(同:1.5%)では円安で業績が改善している大手自動車製造業などの影響により、IT支出が拡大するとみている。

一方、関東地方(同:0.1%)では大手金融機関、情報サービス業で積極的なIT支出が継続するが、2012年の通信事業者の大規模な投資の反動もあり低い成長率を予測。また、近畿地方(同:0.1%)では、同地域に拠点を持つ大手製造業の業績悪化の影響が大きいことからIT支出は低い成長率を予測している。

なお、2014年はハードウェアの更新需要の谷間のため各地域でマイナス成長となり、各地域ともに本格的なIT支出の回復は2015年以降と予測している。2015年以降の国内企業向けIT市場は、関東地方のIT支出は堅調に拡大する一方で、その他の地域のIT支出は低い成長率に留まると見ている。

IDC では、「IT支出の成長が伸び悩む地域において、その地域のパートナー企業がビジネス拡大を図れるように、他地域への展開支援、他地域のパートナーとの提携を可能にするビジネスマッチングなどの施策が求められる。」と分析している。