Windows 8.1 Enterpriseプレビューの公開を行い、Windows 8.1の完成が間近であることを暗に示したMicrosoftだが、直近の記事で興味深かったのは、同社公式ブログの一つ「IEBlog」に掲載されたInternet Explorer 11のタッチ機能である。

そもそもInternet Explorer 11は数多くの新機能を備えているが、従来のマウス操作を全体にしたWebページに対するタッチ操作は完全とは言い難かった。そこでMicrosoftはInternet Explorer 11の開発にあたり、タッチ操作によるマウス操作のシミュレーションを実現したと言う。今週は同ブログに掲載された記事をベースにInternet Explorer 11で実現されるタッチ機能に関するレポートをお送りする。

タッチ操作を強化するInternet Explorer 11

従来のデスクトップ/モバイル型コンピューターだけではなく、現在の主流デバイスと言われているタブレット型コンピューターでも、Webブラウジング環境が重要なのはユーザーが一番感じていることだろう。今年後半にリリース予定のWindows 8.1には、最新版となるInternet Explorer 11が搭載予定であり、タッチ操作を中心に機能拡張が行われているのは既報のとおり。

現在公開中のWindows 8.1プレビューでも、Internet Explorer 11プレビューでその一部を体験できるが、改めて各機能を紹介したのが、Microsoft公式ブログの一つ「IEBlog」に掲載された記事だ。タッチ操作を強化したInternet Explorer 11では、マウス操作を前提にしたWebページに対する操作性を向上させると言う。

記事に埋め込まれた動画では、同社のWeb検索サイトであるBing.comを例にデモンストレーションを紹介。同サイトでは、Webページ上に用意された空白のボックスにマウスオーバーすると、その日のテーマに関する情報をポップアップで解説しているが、Internet Explorer 11は、タップ操作によりマウスオーバー操作をシミュレーションする機能が導入されているようだ(図01)。

図01 Internet Explorer 11では、マウスオーバーなどマウスに関する操作をシミュレーションし、タッチ操作で実現可能になると言う

ここで問題となるのが、ページ上の要素をタップした際の動作である。Windows 8のヘルプでも解説されているように、タップ=マウスによるクリック、長押し=マウスによる右クリックアクションを実行するが、タッチ操作ではその境目が分かりにくい。そのためInternet Explorer 11では、長押し時にマウスオーバーと同じ動作を割り当てている。この操作はInternet Explorer 11プレビューでも確認可能だ。

Bing.comに用意された解説のポップアップを長押しすれば、何もないところを右クリックした際と同じくアプリバーが現れると、Internet Explorer担当リードプログラムマネージャーであるMichael Patten(マイケル・パッテン)氏は説明している。もっともこれらの操作はWindows 8のタッチ操作と変わらないため、筆者が何らかの思い違いをしているのかもしれない。いずれにせよ、マウス操作を前提にしたWebページでも、Windowsストアアプリ版Internet Explorer 11であれば、快適なWebブラウジングが可能になることは確かだろう(図02)。

図02 タップ操作はクリック、長押し操作は右クリックに相当する。基本的にはWindows 8のタッチ操作と同じだ

マウスであれば簡単に選択できるリンクに対しても動作が変化している。タッチ操作における視覚的な反応を高速化するため、リンクをタップする際に周りをハイライト表示する仕様に変化させることで、自身がタップした場所を明確に把握するのが目的だろう。もちろん動作に変化はなくタップでリンクを開き、長押しした場合はアプリバーが現れる。記事ではInternet Explorer 11とそれ以外のWebブラウザーの動作を比較した画像を用意。記事内では触れられていないが、おそらくiPadはMobile Safari、AndroidはGoogle Chromeと思われる(図03~05)。

図03 Internet Explorer 11でリンクをタッチした状態。リンクターゲットの周りがハイライト表示される(記事より)

図04 こちらはiPadで同様の操作を行った状態。記事では触れられていないものの、Mobile Safariを使ったと思われる。特に変化は生じていない(記事より)

図05 同じくAndroidで同じ操作を行った状態。Google Chromeと思われるが、動作はMobile Safari@iPadと同じだ(記事より)

Windowsストアアプリ版Internet Explorer 10には、雑誌をめくるような感覚でWebページを閲覧するページフリップ機能が搭載されていた。複数のWebページで構成されたニュース記事などページが連続している場合に動作し、コンテンツパターンなどを認識して先読みするという機能である。Internet Explorer 11では、ページを左方向もしくは右方向にスワイプすることで、直前に閲覧していたWebページや次のページに移動するジェスチャーが加わった(図06~07)。

図06 スワイプ操作でページを右方向に移動させると、直前に閲覧していたWebページへ移動できる。画面の例ではBingによる検索結果から元のWebページに移動するシーンだ

図07 スワイプ操作でページを右方向に移動させると、ページフリップにより適切なWebページへ移動できる。画面の例ではBingによる検索結果の次ページが現れるシーンだ

もっともタブレットで複雑な処理を行うとバッテリ電力を過度に消費する可能性がある。そのためInternet Explorer 11ではメモリーの効率性とバッテリ運用可能時間を維持するため、一時停止時は直前のWebページをキャッシュし、スライス操作時はそのキャッシュを利用する仕組みを採用した。このキャッシュの仕組みに関してはHTML5 API(Application Programming Interface:簡潔にプログラムを記述するためのインターフェース)として実装しており、今後詳しく解説するとPatten氏は述べている(図08)。

図08 ページフリップに関する設定は、Internet Explorer 11にも残されている