ヤフーはこのほどの参議院選挙の結果を受けて、「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」で実施した参議院選挙議席予測の結果をまとめている。

「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」では、7月8日、7月12日、7月19日の3回に渡り、「相関モデル」と「投影モデル」を用いて、検索データをもとにした各党の獲得議席予測を発表してきた。相関モデルは、各政党ごとの得票への繋がりやすさを補正した上で、特定期間の検索量から得票数を推定。一方、投影モデルは、過去の選挙における公示日前後の検索量の変化を増加率としてスコア化し、今回の公示前の検索数から得票数を推定している。

7月19日に発表された最終予測レポートと実際の結果を比べてみると、与党数76議席、野党数45議席と与野党で見れば完全に一致。個別政党の獲得議席数は予測数値と少しずれがあり、的中率は、今回の参院選で改選対象となった全121議席中、相関モデルでは105議席(87%)、投影モデルでは111議席(92%)となった。

2013年7月 参院選全体の予測と結果比較(発表資料より)

選挙区の議席獲得予測は、相関モデル / 投影モデルともに、完全不一致となったのは沖縄県と岩手県の2県だけという結果。特に西日本での一致率が高く、投影モデルでは東北と関東以外は予測とまったく同じ結果になっている。一方、東京都に関しては全5議席中3議席の的中で、他県よりも予測のズレが大きい。

2013年7月 参院選選挙区予測と結果比較:相関モデル(発表資料より)

2013年7月 参院選選挙区予測と結果比較:投影モデル(発表資料より)

選挙区全体で見てみると、全73議席中、選挙区選出に関しては相関モデルでは61議席(84%)が一致、投影モデルでは65議席(89%)が一致。与野党という単位ではともに1議席のみのズレに収まった。選挙区で誤差が大きかったのは民主党と他(諸派、無所属)で、それぞれ両モデルともに3議席のズレが生じている。

2013年7月 参院選選挙区の予測と結果比較(発表資料より)

比例区については、48議席のうち相関モデルでは40議席(83%)が一致、投影モデルでは42議席(88%)が一致。各政党の誤差はおおむね1議席内におさまっているが、公明党と「その他」(諸派・無所属)に関しては両モデルともに2議席のズレが生じている。

2013年7月 参院選比例区の予測と結果比較(発表資料より)

今回の予測では、相関モデルの予測数値が低めになっているが、同社はその要因として、検索量のデータから得票数を割り出す際の補正率が低かったことを挙げている。

同社はこれらの結果から、「諸派・無所属織り込みが困難」「低投票率の影響」「政党や候補者ごとの票へのつながりやすさ」という3点を今後の課題としている。

今回の獲得議席予測は政党名がベースになっており、一部諸派や無所属は予測対象になっていない。今回の予測において、1議席選出の選挙区の予測を外した県は沖縄県と岩手県の2県だったが、両県ともに諸派もしくは無所属候補が勝っている。

低投票率の影響については、今回の予測モデルのベースとなった2010年参院選と2012年衆院選の投票率はそれぞれ57.92%と59.32%だが、今回の参院選の投票率は52.61%と低かった。一般的に、低投票率時には組織力の強い政党が有利で、この影響から、公明党に関しては従来モデルを元に使用した補正率より大きな差が生じたとのこと。

また、政党や候補者ごとの票へのつながりやすさは予想しにくい要素で、たとえば、誕生したばかりの政党は関心が高く検索されやすい、候補者の人柄や容姿などに関心が集まり検索数が急上昇する、といったことも考慮する必要がある。今回の参院選でも、直前に都議会選挙があったことで、その関心がデータとして混ざってしまうというようなことがあったという。