世界のTV局の「お手本」などと讃えられ、数々のドキュメンタリー番組の名作を製作し続けている英国の公共放送「BBC(British Broadcasting Corporation:英国放送協会)」。ネイチャー・ドキュメンタリーの最高峰といわれるコンテンツ「BBC EARTH」の中の「グレート・シリーズ」3部作が、DVD/ブルーレイ化されて5月から6月にかけてエイベックス・エンタテインメントから発売となった。その3作は、「グレート・バリア・リーフ BBCオリジナル版」(画像1)、「グレート・リフト BBCオリジナル版」(画像2)、「マダガスカル BBCオリジナル版」(画像3)である。同ドキュメンタリーは製作期間18カ月、総制作費10億円をかけて作られた作品だ。

画像1(左):「グレート・バリア・リーフ BBCオリジナル版」のパッケージ。画像2(中):同じく「グレート・リフト BBCオリジナル版」。画像3(右):同じく「マダガスカル BBCオリジナル版」。(c) 2012 BBC Worldwide Ltd.

そして7月に入って、「グレート・バリア・リーフ BBCオリジナル版」(画像4)のプロデューサーで脚本も兼任している、BBCナチュラル・ヒストリー・ユニット所属で、同ユニットのダイビング(水中撮影)チームのヘッドでもあるジェームズ・ブリッケル氏(画像5)が来日。今回、同作品と、グレート・バリア・リーフそのものの魅力について語ってもらった。

インタビューに入る前に、まずブリッケル氏について説明させていただく。ブリッケル氏は、仏国の海洋学者のジャック=イヴ・クストーと英国の動物学者のデイヴィッド・アッテンボローにあこがれて幼い頃から動物に興味を持っていたという人物で、今回の撮影に当たっては、自身も3才と5才の息子さんを含めて家族共々オーストラリアに1年間在住して臨んだ。そしてチームによる撮影総時間は600時間にもおよび、通常は撮影許可が下りない特別な区域の映像や、世界初の映像の数々も収録に成功したのである。

画像4。「グレート・バリア・リーフ BBCオリジナル版」のパッケージに使用されているイラスト調に加工されたウミガメを中心にした画像。(c) 2012 BBC Worldwide Ltd.

画像5。ジェームズ・ブリッケル氏。砕けた質問にも丁寧に答えてくれた

グレート・バリア・リーフについては説明するまでもないかも知れないが、改めて説明すると、オーストラリア東部の海に広がる、日本の陸地面積とだいたい同じという広大な面積を有する世界最大のサンゴ礁地帯だ(画像6~9)。世界の自然七不思議の1つに数えられ、なおかつ世界遺産にも登録されている。ダイビングスポットとして世界的にも有名で、読者の中には潜った経験があるという方もいることだろう。

同作品は、そんなグレート・バリア・リーフの魅力を1話50分の3話構成(計150分)で見せてくれる。過度の演出を抑え、また環境保護を訴えつつもしつこすぎないような作りとなっており、まさにグレート・バリア・リーフの美しさが体感できると同時に、ただ美しいだけでなくそこにある過酷な食物連鎖も含めた無数の生命たちによる真実の営みを観て取れ、そして自然や環境について考えさせられる内容だ。

3000近くあるといわれるサンゴ礁の刻々と変化する様子、世界記録となる1つの島(レイン島)に2万6000頭のウミガメが上陸しての産卵の様子、色とりどりのさまざまな魚たちが泳ぎ回る様子など、魅力を上げたらきりがないほどで、筆者の文章力ではとでもではないが表現しきれない。ぜひ、観ていただきたいとだけお伝えしておこう。それでは、インタビューをお送りする。

画像6。グレート・バリア・リーフは色彩も豊かだ。(c) 2012 BBC Worldwide Ltd.

画像7。実に多種多様な生き物たちが棲息している(c) 2012 BBC Worldwide Ltd.

画像8。上空から見たグレート・バリア・リーフ。(c) 2012 BBC Worldwide Ltd.

画像9。サンゴ礁のアップ。時には遠景で、時にはクローズアップしてグレート・バリア・リーフの魅力を余すことなく伝えてくれる。(c) 2012 BBC Worldwide Ltd.