ソフトバンクモバイルではスマートフォン向け健康管理サービス「SoftBank HealthCare」を7月18日よりスタートする。対応デバイスとして同時リリースされるリストバンド型の活動量計「Fitbit Flex」を使えば、誰でも簡単にライフログを取得することができるサービスだ。

健康ブームとウェアラブル端末ブームの盛り上がりを受けて、注目度が日増しに高まっているSoftBank HealthCare。同サービスに注目している読者も多いことだろう。そこで本稿では同サービスの内容を改めておさらいするとともに、ソフトバンク本社で聞いてきた開発者の生の声もあわせて紹介していきたい。

Fitbit Flexは、身に着けているだけで健康管理に必要なライフログが取得できるウェアラブル端末だ

SoftBank HealthCareってどんなサービス?

SoftBank HealthCareは、健康に必要なデータを対応端末で取得し、スマートフォンの専用アプリで管理することで日々の健康をサポートする。利用者にはFitbit Flex(米Fitbit製)が提供される。同端末はリストバンド型のウェアラブル端末で、腕に着けているだけで歩数、移動距離、消費カロリー、睡眠時間が計測できるようになっている。計測したデータはBluetoothによりスマートフォンに送信され、そこからソフトバンクのクラウドサーバーにアップロードされる仕組みだ。Fitbit Flexを継続的に利用するために月額使用料525円がかかる。初期投資をする必要がなく、誰でも気軽に始められるのもひとつの大きな特長となっている。

リストバンド型のFitbit Flexでは、1回の充電で約5日間の使用が可能。専用の充電器で充電して使用する。防滴仕様なので、汗や雨の水濡れを心配する必要もない

SoftBank HealthCareアプリに対応するスマートフォンにはiPhone 4S、iPhone 5のほか、2013年夏モデルとして発表されたAQUOS PHONE Xx 206SHなど数機種を用意。順次拡大される予定だ。

開発者にSoftBank HealthCareについて聞いてきた

今回、SoftBank HealthCareの開発に携わったソフトバンクモバイル サービスコンテンツ本部の門馬可央氏と同社プロダクト・サービス本部の舘由里子氏に話をうかがうことができた。「ソフトバンクでは数年前からヘルスケアサービスを検討していましたが、当時はクラウドと連携してデータを自動でアップロードできるような環境がなく、またライフログが記録できるような製品もありませんでした」と舘氏。クラウドサービスの普及やFitbit Flexとの出会いなどにより、思い描いていたサービスが形になったと語る。

アプリの利用イメージ。見やすく使いやすいデザインが印象的だ

ソフトバンクの提供する専用アプリでは性別/ 身長/ 体重など、あらかじめ入力した個人のデータをもとにして消費カロリーや基礎代謝などが算出される仕組みだ。活動量は日/ 週/ 月ごとに表示させることも可能。例えば、ある特定の日のどの時間帯にどのくらい歩いたかを知ることもできれば、どの月に活発に運動したかを比較することもできる。あらかじめ目標とする歩数を設定しておけば、バイブレーションにより「まもなく目標を達成できます」というお知らせを受け取ることも可能だという。

歩数、移動距離、消費カロリー、睡眠時間がひと目で分かるようになっている

体重・体脂肪などのデータは別途、手入力する必要がある。面白いのが、歩数や消費カロリーなどが表示される"浅い階層"には、体重が表示されないという点。これは「人目につくところに体重を表示してほしくない」という女性ユーザーの気持ちを考慮した結果だという。ファーストビューでは前回計測した体重との差分のみが表示される仕様で、ひとつ下の階層に体重などの情報が表示されるようになっている。

食事内容を入力することにより、摂取したカロリーの合計も計算可能。料理はデータベースから検索して選択するか、カロリー数を手入力する。1日の目標摂取カロリーと比較することで「今日はあと何カロリー食べられる」などの判断が行える。

食事/ 摂取カロリーの表示画面。目標カロリー数、摂取カロリー/ 消費カロリーがひとつの画面で確認できる

測定データから身体の状態を分析する「ヘルスケアバランス」や、顔写真をもとに未来の顔を予測する「タイムマシン」機能も利用できる。今後20年の体重変化も予測可能だ。このほか健康やダイエットについて悩みを抱えたときは、専門スタッフ(看護師、栄養士、医師)に電話相談を行える。通話料は無料で、365日24時間利用可能となっている。

ヘルスケアバランスでは、体力、抗エイジング力、意識力、継続力、美力という5つの指標で体の状態を分析する(写真左)。専門スタッフへの電話相談にも対応する(写真右)

利用者のやる気を喚起させる工夫も用意されている。例えば「フレンド」機能では、友人・知人と歩数を競い合うことができる。IDかニックネームで検索し、フレンドリクエストを送ることで知り合いとつながることができる仕様だ。知らない人とフレンドになることがないよう、また人に公開したい情報のみ公開できるよう、そのあたりもしっかりと配慮されている。

フレンド機能では、友だちと記録を競い合える(写真左)。「目指せ1万歩!」「目指せ42km!」などの目標を達成するとコインがもらえる施策も用意(写真右)

このほか、決められた期間で決められた歩数/ 距離を歩けばコインがもらえる「チャレンジ」機能なども用意する。こうした企画により、利用者は楽しみながら健康的な活動を継続できるというわけだ。

ラバー製のバンドは任意で交換できる仕様。デフォルトでは写真の黒タイプが同梱される

タイムマシン機能の利用イメージ。健康には気をつけたい

今後の展開など

SoftBank HealthCareは幅広い年齢層の一般ユーザーが楽しみながら健康のことを考えられるサービスとなっている。核となるターゲット層には、30代から40代の男女を想定しているという。「若者にもアピールできるよう、製品のデザインの格好良さにもこだわりました」と舘氏。ラバー製のバンドも「質の良い素材を選択した」(同氏)とのことだ。ちなみに、バンドは任意で交換できる仕様。ソフトバンクセレクションからはカラフルなカラーバリエーションの交換用バンドが提供される予定なので、そちらも楽しみにしたい。

ソフトバンクでは今回のサービスを開始するにあたって、米Fitbit社から提供されているアプリは使わず、ソフトバンクが提供するオリジナルアプリを通じてソフトバンクのクラウドサーバーにライフログをアップできる仕組みを構築した。同社では近い将来、対応デバイスの拡充などを含め、健康サービスのさらなる拡大を予定しているという。今回のSoftBank HealthCareサービスの開始により、その素地が整ったと言えそうだ。

「データを可視化することができた、というのが現段階です。今後は、これを活用する方向へとシフトしていきます。例えば集計したライフログをユーザー様の生活習慣病の予防やエージングケアに役立てる、といったようなサービスを考えています。ダイエットに特化したサービスを追加しても面白いでしょうね」(舘氏)。